ギデオン殿下
熱い日々が続きます。皆様体調にはお気をつけください。
ここはドワーフの国の工房。
「遂に来たか。」
彼の手には母国の宰相の印が押された封筒。ともう一通は…。
「親方~僕、国に帰らなきゃならなくなったぁ。」
「何!?今までどんなに召喚状が着ても帰らなかったくせに今回だけなんでだ!?」
「僕の命がかかってる。」
「はぁ?じゃあ尚更帰るなよ!」
「ダメだよ。今回はドワーフ国も守ってくれない。ドワーフ国王からも書状が来た。」
「なっ…。解った!じゃあ俺も行ってやる。弟子をそんな恐ろしい所に一人で行かせるか!!」
二人はドワーフ国を旅立った。
二人の前にある城は屋根が吹っ飛んでいた。
「お前の国戦争でもしたのか?」
「嫌。そんな話は聞いていない。こんな事なら所領を通って来るべきだった。」
情報が意図的に遮断されている。日にちが指定されていたため戻る時間がなかったのだ。
出迎えたのは新しい宰相だった。見たこともない顔だった。
「お帰りなさいませ。ギデオン殿下。」
しかも名乗りもしない。こんな失礼な出迎えは初めてだ。親方の顔色も悪い。いよいよヤバイかもしれない。
通されたのは青空の見える謁見室だった。
「妃殿下お連れいたしました。」
妃殿下?三兄弟で婚姻し、妃がいるのは兄上だけだ。兄上の奥方か?
一番高い所に居る女性。目があった。黒目黒髪。とても懐かしい。懐かしい?
女性の目が見開かれる。
「お姉ちゃん?」
頭が割れるようだった。一気に記憶がもどったのだ。
「鶫?」
呟いた。
久しぶりに見た妹の顔は幼かった。そして、般若になっていた。
「じじい!!私の姉になんて事をしてくれた!」
side鶫~
私の姉は家族を大事にする人だった。
興味のあることに対して研究熱心で、真面目で、頼り概のある人で凛とした人だった。
「ギデオン殿下がお越しになりました。」
セバスがそう告げてきた。私は通す様に頷く。入って、私を見たときの反応が見たかったのだ。情報も一切遮断し、逃げ道も塞いだ。人間の本質は窮地に立たされた時にこそ現れる。それが知りたかったのだ。
一人の男性が入ってきた。ドワーフも一緒だ。工房に入っているとは聞いていたが…。顔色がどちらも悪いな。ドワーフは、弟子を守ろうとしているのだろう。庇うように立っている。
目があった。何故か目がそらせなかった。鑑定。
ギデオン=ペンタス(神孫子 螢)
種族 人族(?)
38歳(??)
HP/MP 480/300(????)
鑑定、生活魔法、生成魔法、回復魔法
属性 火、土、雷
スキル
建設、鍛冶、木工
称号
造り出す者
神子の姉
ギフト 考え中(応相談で!)
はぁ?
「お姉ちゃん?」
驚きに。声が枯れていた。
久々の姉は男になっていた。顔色が真っ青だった。
「鶫?」
「じじい!!私の姉になんてとこしてくれた!」
私は般若顔になった。一言告げた姉?義弟?は倒れた。
「すぐに部屋へ!!侍医も!えっと…ギデオン殿下の部屋は無事なのか?」
頭がこんがらがるぅ。
『つぐみ落ち着いて。じじいは四獣で囲んで正座させてるから。後回しで大丈夫だよ。』
エピネ!!ありがとう。四獣?皆大好き!!
「はい。ギデオン殿下のお部屋は無事でしたが長年使われておらず、無断で入るのも憚られましたので、客室を用意しております。」
流石セバス!!
「では、そちらにお連れせよ。必ず侍医へ見せて、丁重にもてなせ。そちらの師匠殿もな。ギデオン殿下と師匠殿に問題はない。こちら側だ!粛正の対象とはせぬ。後は……宰相。花梨と桔梗は神の元へ一度戻った。話し合いが必要となった為忙しい。大丈夫か?」
じじいの説教はかなりかかるだろう。私も後で加わるつもりだからかなり長くなるな。
「はっはい。大丈夫ですが。落ち着かれましたらご説明頂けますか?」
「鋭意努力する。セバス。カラーに遅くなるから姫を頼むと伝えよ。」
「畏まりまして。」
私は神の元へ飛んだ。




