sideレオンハルト
シリアス回です
苦手な方はスルーしてください。
何故こうなってしまったのだろう。
聖女鑑定の日から何もかもが上手くいかなくなってしまった。
あの日の兄上の見たことも無いような笑顔と、レイズの驚きの顔と、陛下の僕を蔑むような目が忘れられない。
聖女に認定されたアビィに簡単に会うことが出来なくなり、会う時は必ず兄上と一緒、しかも彼女の部屋は兄上の隣部屋だった。
最初兄上の隣部屋に彼女が入ることの意味を知らなかった僕は、一人で会いに行ったが、門前払いをされた。聖女となったのだから立場は同等、だから面会の予約を取るように言われたのは解ったが、何故兄上と一緒でなくてはならないのかが理解できず、イラついていた。
その答えを教えてくれたのは僕の婚約者だった。
「聖女様の担当ではなくなったのですから、これからは私との時間を大切にしてくださらねば!!第一王子殿下と聖女の婚姻が決まった以上、殿下の王太子の道はなくなりました。臣下に下る道を探さねば。ギデオン殿下の様に得意な事はないのですか?」
頭が真っ白になり、気づいたら婚約者を叩いていた。父上に目に余ると謹慎を言い渡された。
初めてだった。
僕には得意な物など、隷属魔法以外無い。大臣達に王太子には僕しかいないと言われ、信じた僕はその魔法の練習しかしなかったのだ。ギデオン兄上の様に魔道具づくりなど、出来ないし、剣技も磨いて来なかったので騎士にもなれない。婚約者の言葉に頭を殴られた思いだった。
謹慎中に聖女の魔力が十分に到達し、彼女は兄上の妃になってしまった。僕の手の中にあるのは一枚の書状。聖女は兄上の妃となることがきまったこと。彼女のことは忘れることそして2度とアビィと呼ばないこと。が記されていた。
怒りでどうにかなりそうだった。あれ程に欲しいと思った女性を奪われ、それだけでは飽き足らず…王位まで許せなかった。絶対に取り返すと心に誓った。
その後謹慎が開けても僕は部屋をでず、隷属魔法を練習し続けた。寝食を忘れ…婚約者は部屋に訪れなくなり、あんなに諂っていた大臣達にそっぽを向かれてもなお無心に…。
爆音にはっとし、次にはドラゴンの叫び声。
何かあったと剣を持ち、謁見室へ走った。そこには血だらけの父上がいた。不思議と冷静でいる自分がいた。特に悲しみはなかった。次に目に入ったのは呆然としている兄上だった。他に目に入らなかった。こいつだけは始末しなければ…剣を振り上げた。
その後は良く覚えていない。聖女が何か言っていた気がするが…魔力封じの手錠で力が入らない。地下牢に入れられ二週間が過ぎた。
隣に入っていた獣人はすぐに出ていったのに…僕はそのままだ。
それからさらに過ぎた頃…医者が牢に派遣されてきた。
その医者は首をふり、こう告げた。
「もう、長くはない。」
久々のレオンくんでした。
つぐみに会えなくなって何をしていたのか…。
これにてレオンは退場です。
次から本編に戻ります。
やっと、やっとシリアスから抜け出せます!




