閑話 side リンドウ
ブクマ、評価ありがとうございます!
第1章終了も後一週間位です。
土曜日の夜の楽しみに読んでいただければ嬉しいです。
男性妊娠の表現があります。
苦手な方はスルーされて下さい。
カリンやキキョウが帰ったその後の獣人国では…
「お産まれになるまで後5ヶ月程か?」
「おそらく。」
叔父上か側近達に指示を飛ばしている。久々の故郷で後継。もう見ることは無いと思っていた…。何故自分がと何回思った…。でも帰ってこれた。キキョウ様と神子様のお陰で…。
「準備を急がねばな。宰相。同胞達の受け入れ体制を整えよ。内密にな。事が明るみに出れば、同胞達の危険度があがる。神子様達の行動に邪魔となるような事は私が許さん。肝に銘じよ。」
「しかし…陛下。こちらからも穴を掘るとか、人をやるとか何か出来ることがあるのでは無いでしょうか?そうすればなるべく早くトンネルを通す事が出来ますし、同胞達の帰還を早めることが…」
まだ、残っている同胞がたくさんいる気を抜けない。一つのミスが同胞の命に繋がっているのだ!私はまたまた先に助けられたに過ぎないのだ。叔父上はその事をしっかり解っておられる…。助けたいのは皆同じなのだ。
「ならん。こちらが動けば人族に察知される。我々は人族の前に姿を現さない様に行動してきた。それが人族の砦近くに姿が出れば警戒される。解放された同胞達は助かるかもしれないが、未だ解放されていない同胞達は助けることが出来なくなるだろう。神子様の我慢の意味がなくなる。」
「ご心配無く…救出された同胞達の健康状態は一人を除き良好です。穴掘りの為の士気も高うございます。また、その一人は早めに帰還させると神子様も仰いました。」
私達は幸運だった。1日でもずれていたら救いはなかっただろう。あの狐の獣人はダメージが深かったのか目を覚まさない為、教会で手厚く看護して貰った方が良いと、神子様は判断された。しっかり周りを見ておられるのだ。
「リンドウ。無事で良かった。お前を救うこともできず、ただ傍観するだけだった私を許せ。」
叔父上はお痩せになられ、幾分か老けられている。あんなにキラキラと生命力溢れるかただったのに…。
「陛下。どうしようもなかったのです。ご自分をお責めにならないで下さい。私は大丈夫です。神子様やキキョウ様が来てくださったので…。」
「…。その…キキョウ様の事だが…。あーその…キキョウ様はちゃんと解っていらっしゃるのか??お前が雄だと言うことを…。」
おい。しっかりしゃべれ。何どもってんだよ。さっきの同情心返せ。あ?
「御存じです。身体は雄ですが、心は雌だと。」
「そうか…。」
「そうかでは、ありません。陛下。相手は神獣様ですぞ。無礼があってはなりません。また、神獣様の御子を産めるかもしれないのです。一族中から優秀な雌を集めて選んで貰わねば!リンドウは雄です。子は孕めますまい。」
「…っつ。」
いつもこの雌雄の話になる。解ってる。私は無い物ねだりをしているのだと。こう話しているあいつだって男だ。産めないだろうが!蛇族のじじいめふざけるな。出来ることなら私だって産みたい。だが、産む機能が備わってないんだよ。
だが、キキョウ様はそんなの気にしていないのだろう。私を求めて下さっただけでも有り難いし、嬉しいのだ。それを大切にしなくては…。
「ご意見は…ご」
「何でそんなことをお前に心配されなくてはいけない?私の子を誰が孕むか何て私と私の伴侶が決める事だ。なぜお前が口出し出来ると思うのだ?」
そこに現れたのは人化した姿のキキョウ様ではなく、見たことのない透き通るような青い龍…だった。
「確かに…我々には神獣に意見など出来ようはずがございません。しかし…」
キキョウ様めっちゃかっこいい!あの方に求めて貰えている…。
「解っているのならそれで良い。もう口を開くな。」
キキョウ様が威圧を放っている。頭を下げずに姿勢を保っていられているのは、叔父上と私だけだった。
「神獣様。部下の非礼申し訳なく…。あなた様の婚姻に対して口出しなどもっての他。必ず罰しますので、お怒りをおときください。」
「先ほどもお前達は神子様に対しても無礼であったな。あれが許されたため、勘違いでもしたか?先ほどのは長年の仕打ちに猜疑心が高くなっていたためだった。何でも信じるのも良くないしな。こちらも理解できる。だが、今回のは違うぞ。どうするのだ?神の一族の婚姻に口出しなど、獣人国は何時から偉くなったのだ?私自ら望んだ嫁を侮辱するなど…正気か?」
あっ蛇族のじじいガクブルしてやがる。さっきの嫌みはどうした。とぐろ巻いて頭隠しても見えてるからね?しかもちょっと口にしづらいフォルムになっちゃってるよ?あいつら久々の青龍様に舞い上がっちゃたんだよね。龍だからー勝手にご先祖様だと思っちゃったんだろうなぁ。はぁ…。
「キキョウ様。お怒りはそこまでに…。リン怖い。」
とたんに消える威圧。
「大丈夫?リン?ごめんね。病み上がりに威圧なんて良くなかったよね。リンを馬鹿にするから許せなくて…。」
「解っておりますわ。私の心配をして下さって嬉しいです。先程もかっこ良かったですわ。でも、大丈夫です。あのじじいには私からキツイお仕置きをしておきますから。」
「本当に?嫌み言われたら僕に言うんだよ?リンは大切な私のお嫁さん何だから。身体を大事にして、備えておかないと…。私の卵は大きいよ?産むの大変だからね。リンは強いから大丈夫だと思うけど…。」
「え?卵?」
「あっ!つぐみに呼ばれた!またね。リンちゃんと休むんだよ。獣王。罰はしっかりね。」
「畏まりました。」
「…。叔父上私は卵を産むのですか?どうやって?」
どうやって産むかはご想像にお任せ致します。