悪夢の終わり。後編。
シリアス回ですが、後半は弱まります。
今日は2話連続投稿です。
祝日の楽しみにしていただければと思います。
それはスローモーションの様だった。
レオンハルトがジークハルトにめがけて剣をふろうとしている。ジークは呆然としていて動かない。
「イヤァー止めてぇ!」
あの人を殺さないで!助けて!お願い!
「アカメ動け。あやつを助けよ。」
「はっ。」
誰かが私を包んだ。私は…怖くて顔を手で覆っていた。
「つぐみ?大丈夫だ。あの男は無事だ。自分の目で見て確認してみよ。」
本当?あの人殺されていない?生きてる?あの人の死ぬところはみたくないの。
「大丈夫だ。生きておる。誰だって愛する者の死は見たくないものだ。つぐみはおかしくない。」
でも、私は神子だから。あの人は断罪されないといけない人なの。嫌だけどあの人には生きて欲しいけど…それじゃあのドラゴンと同じになってしまう。
「そうだな。だが、あやつは番が大切だったわけではない。自分が大事だったのだ。つぐみと一緒にするな。」
うん。ありがとう。ブルー。
「やっと私の名をよんだな。助けを呼ぶとき私の名を呼ばなかったのは減点だったが、許してやろ。はぁ…私はずっとつぐみを抱いていたいのだが…そろそろ私の命が危なくなってきている。顔をあげてやれ。」
私は顔をあげて周りを見た。花梨と桔梗がブルーをめっちゃ睨んでる。あっ私に気づいた。心配そうに私を見てる。うふふ。大丈夫よ。と微笑む。ブルーの腕をトントンと叩いた。離してと意味を込めて。
ブルーはそっと私の側を離れた。そして、頷く。いってこいと。
私はアカメに拘束されているレオンとまだ、視点が合わないジークに声をかけた。
「レオン、愚かなことをしたな。逆恨みで兄を手にかけるとは…。ジーク、ジークハルト!!しっかりせよ。呆然としている場合ではない。今までペンタス王家が犯してきた罪を贖う責任がお前にはある!お前の代で終わりにするのだ。次代に負の遺産を背負わせるな。」
ジークははっとして…私を見た。やっと視点があった。目に力が灯り。一度目を閉じ、開いた時のジークは王家の人間だった。
「申し訳ありません。神子様。ペンタス王家は神子様に従い、謹んで罰を受け賜ります。」
「そうか…。では、ユーカリ後は任す。」
私はユーカリに声をかけた。後は任せるしかない。これからは次代の為に動かなければならない。私だけに権力を一点集中してはいけないのだ。ユーカリにはそれだけの力があるだろう。
そしてジークとの最後の時だ。彼は王族として対応すると言った。罰を受けると。ならばこちらも王族として見送ろう。
私はジークの目を確りと見て、カテーシーをした。
「ジークハルト殿下にお見送りの挨拶を致します。」
皆が私に倣い、頭を下げて見送る。
「では、ジークハルト殿下は貴族用の牢屋に、レオン様は地下牢へ。魔力封じの手錠を忘れるなよ。」
「出立!」
ジークは顔を上げ、俯くことなく歩いていった。
私は泣かなかった。
一度私の執務室に戻り、ユーカリやポトス、キキョウを含めて報告を聞いた。
「桔梗。奴隷は無事に解放できた?」
「うん!無事に解呪できたよ。ただ、解呪したとたん、制御が効かず、何人か自分を隷属させてた人族殺しちゃったみたい。ビーストモードっていうみたいで…殺した後は大人しくしてるんだけど…。どうする?」
うっうーん。制御できなかったのね。でも、殺しちゃったら無罪には出来ないな…。
「ビーストモードか…隷属され、正気を失い、精神に異常が出でいても仕方ないな。ユーカリどうする?」
「私が決めて良いので?」
私の反応を伺うようにユーカリは聞いてくる。
「そうだな。驚く程でもあるまい?先程もジークハルト殿下やレオンハルト殿下の処遇を任せたであろう。下の者の事まで私が決めていては手に余る。お前がどう、処罰するか聞きたい。」
「一旦は牢屋に入れ、医者を派遣します。危険が無いと確認去れれば、国外退去として、獣人国に還してやれば良いと考えます。」
文句無しだな。ユーカリよ。これで安心ですな。
「良いだろう。賛成する。そして、これよりユーカリ=フォン=アルメリア。そなたが宰相だ。綱紀をあらためよ。」
「拝命致します。」
「ポトス=フォン=アルメリア。そなたは宰相候補兼補佐だ。宰相の手足となり、助けよ。」
「畏まりまして。」
「後の細かい人事はお前達に任せる。頼んだぞ。」
「「御意。」」
私はずっと気になっていた桔梗と向き合っている。
「桔梗?ずっと聞きたかったのだけど…その忍者の衣装どうしたの?私、まだ作って上げてなかったよね?
」
めっちゃ気になるクオリティ!私も欲しい!その黒光り最高!
「これ?つぐみよく知ってるねぇ~ドワーフ国に行った時に見つけて買ってきた!忍者スーツっていうの。」
マジか!?
ドワーフ国が気になる。一気に行ってみたい国ランキング1位に躍り出たな。
やっとシリアス脱却できたかな?




