お手軽王子見参
よろしくお願いします。
第一印象は目がチカチカする。ブロンドに目はロシアンブルー。マンガみたいな人だなと思いました。
「救世主よ!良かった。目が覚められたのだな。目の前で倒れたので、心配していたのだ。あっ救世主とは呼んではいけないのだった。異世界のお方よ気分はどうだ?」
喋らなければ……
惜しい。なんか思っていることが全部口に出てしまう人なんだな、きっと。王子として大丈夫なんだろうか。彼の将来が気になる。息子と重ねてしまうな。元気かな?息子よ。あっ…これ考え出すと深みにはまるな後にしよう。
「はい…大丈夫です。ありがとうございます。あの救世主とか異世界とかよく解らなくて…あと、あのすみません、倒れた時のこと…記憶が…私、貴方とお話しましたか?」
「これは失礼した。突然だったのだ記憶がないのは無理からぬこと。私は第3王子であるレオンハルト=ペンタスである。きゅ…異世界の方、名前を聞かせて頂けないか?」
噛んだな…召喚とか普通大々的な儀式に王太子でもなく、第1王子でもなく2でもなく第3王子…。何そのお手軽感。しかも突然になったのはそっちのせいだっつうの!謝罪もなければ、押し付け感満載フォロー。目がぁ…目がぁ…。なんとかギツネさんになってしまいそうです。でも…ここはぐっとこらえて…。本名は念のため隠しとこう。解呪っていうギフトがあるぐらいだもん。呪いとかありそうだよね。
「はい!!あの…アビゲイルです。アビィって呼んでください。」
「アビ…アビゲイルが。なんというか凛々しい御名前なのだろう。こんなに可愛らしい少女につけるには斬新だな!わかった!アビィと呼ぼう!」
「はい!嬉しいです。こんな素敵な人に名前を呼んで貰えるなんて…。私、どうしたら良いかわからなくって…王子殿下…私は何故こんなところに?帰れないのですか?」
いちお、現状把握。このお手軽王子がなんでも知ってるとは思わないけど、召喚儀式に居たってことは責任者なんだろうし…。
「帰るなど…そんな方法があるとは聞いたことはないど…だが、大丈夫だ、アビィ。私もそなたがこちらで不自由なく過ごせるよう尽力つもりだ。父上にも一任されているしな。そなたには確かにおって貰いたい責務はあるがまだ先の話だ。今はまずは、身体を休めて欲しい。侍医からも倒れたばかりだから無理はさせず3日はゆっくり過ごすよう言われておる。」
「そんな…帰れないだなんて…。うっう…しくしく。」
「殿下。今はここまでに。異世界の方も混乱なされています。侍医からも言われています。落ち着くのを待ちましょう。」
「わかった。今日はここまでとする。アビィゆっくり休むのだぞ。そなたたち、アビィには丁寧に接するように。父上からも丁重にと仰せつかっている。」
「御意」
泣き真似って結構難しいな…気絶の時も思ったけどなんで嘘だとばれないのかな…?私って演技はなの?
貴族の名前って難しいですね。