辺境伯一家の話し合い
よろしくお願いします。
「見たか?」
「「「「「見ました。」」」」」
「「「「「「…。はぁ…。」」」」」」
「では、アルメリア家の緊急家族会議を行う。今回は秘匿する案件が多いため、秘密を守れぬ幼い弟妹達は不参加とする。良いな?」
「「「「「はい。」」」」」
「では、議長のセバス頼む。」
「はい。では、今回の会議での議題は如何致しましょう。うーん、まずは彼女を神子と判断するか否かですかね?」
「彼女は神子様だ。疑いようがない。」
「「「「是。」」」」
「では。満場一致で。神子様と認定致します。」
「神子様の提案をのみ、協力するか否か?」
「死ぬか生きるかだな。」
「数日前までその様な選択をすることになるとは思ってもいなかったですわ。でも、選択肢があるだけまだましなのかもしれませんね。」
「母上。私たちが生きるを選択することが王家を裏切ることになるのでしょうか。」
「ポトス?どういう意味ですか?」
「私たち人族が神に対して赦されざる罪を犯したことは、否定できませんし、弁解も難しいでしょう。というかその様な説得を聞いてくださる様な次元ではない。神の前では等しく皆同じなのだと感じました。
セバスも言っていたのでは?全てが同じに見えているようだと…。僕は怖い。今までの人族の常識が何一つ通じない方なのです。僕は奴隷を可哀想だと野蛮な魔法だと教えられてきたし、これからも教わる気もありません。平民と貴族が同じ人族というレベルではない。あの方は獣も虫も、人族も獣人もドワーフもエルフも、もしかしたらドラゴンでさえも同じなのだとそう仰るでしょう。生きるもの全てが神の愛でる者。だから生かすのですから。」
「そうですね。私めもポトス様の考えに近い。ポトス様それを私たちの言葉にすると畏怖と言います。それ程畏怖する方が王家の正統な血を引く御子を身籠っておられます。次期は決まったも当然です。現在の王家は皆粛正されるでしょう。お館様どうなさるので?」
「神子様は畏怖するべき方だが。冷静に対処されている。文句のつけようがない次期を用意し、これまでの罪を背負って処罰される人族の選別もなされている。子供が産まれていない領地の貴族どもは全て断罪される対象なのだろうな。だから、私たちが必要なのだろう。空いた席の穴埋めだ。そして、おそらく…カラー。解るな?」
「はい。皆の意見を聞き、理解しましたわ。私は乳母候補なのですね。そして、腹の子は乳兄弟として選ばれた。」
「そうだ。次期国王陛下の乳母と乳兄弟だ。重いぞ。」
「そして、私とポトスとストックは宰相、宰相候補、次期辺境伯なのだ。アイビーお前はカラーの補佐だ。良く考えられている。その上で、私達に判断させておられるのだ。断わっても困ることは無いのだろうな。きっと、この国がなくなるだけだ。逃げ道はない。今まで、奴隷のことを不憫に思うだけで何もしてこなかった我々への罰なのだろう。」
「父上、僕はこれまで兄上の補佐として、学んで来ました。それがいきなり次期辺境伯などと…できるでしょうか?」
「できるかではない。やるしかないのだ。ポトスお前もだ。」
「「はい。」」
「私達は今まで怖いものは余りありませんでした。信仰する神ですら…手を合わせるだけだった。それは本来間違っていて、畏怖し、真摯に祈り願う相手だった。私達は忘れていた…出生率が下がり悔い改める期間に気づかず放置した。全てが罪なのですね。」
「そうだ。アイビーお前がこれから弟妹に教えていかねばならぬ。お前達の母はこれから乳母となる。もう、お前達の母でない。辺境伯の奥向きはアイビーが取り仕切るのだ。」
「はい。」
「セバスお前はどうする?」
「私めはここへ残り、ストック様をお支えし、アルメリア領を守りたいと思います。」
「だめだ。」
「ストック様?」
「セバスは父上と兄上を支えなければ。二人は全く右も左もわからない国の中枢へ行かれるのだ。勝手が分かっている私とはスタートが全然違う。僕は大丈夫だ。アイビーと一緒にこの領地と弟妹を守る。」
「そうだな。ストック、ありがとう。私も、覚悟しました。なりふり構わず生き残るために。平民も貴族もない方だと言ったじゃないか。セバス自身が中枢で働けるんだよ。あの方は貴族が減った後、平民を広く登用されるつもりなんだ。諦めなくていいんだ。セバス!!父上と一緒に同じ目線で働けるんだよ。」
「そうだ。セバス!!一緒に来てくれ。そして、今度は同僚として共に頑張っていこう。」
「はい…うっ…。」
「では、返事は決まったな。」
「「「「「はい!」」」」」
2日後つぐみはアルメリア一家の優秀さに畏怖する。
ジーク君はお休み。




