閑話 アカメの日常
ボーナス回です。
楽しんで頂ければと思います。
俺は朝は早い。
夜明けと共に美人な妻を起こさない様に起床し、庭で軽く素振り。汗を流した後、子供部屋へ。
一族の乳母が子供達を起こし、着替えをさせていた為、その間息子と、遊んでやる。この子は獣化したままだからな、着替えが必要ない。
そうこうしていると妻が白虎の姿で表れた。
その神々しさにはいつも息を飲む。子白虎を連れて狩りに行くのだ。そろそろ狩りを教えねばならないのは解るが、心配だ。
「気をつけて行ってこい。」
と見送る。
頷き一つ。あっという間に遠くまでいってしまった。白虎は駿足だ。
「パパ~。終わった。」
娘が舌足らずだが話すようになった。とても可愛い。カリンは何て素敵な子を私にもたらしてくれたのだろうか。感謝しかない。
二人で朝食をとる。食事を何とか一人で食べようとする娘の口を拭いてやる。ほっぺがぷにぷにしている。
絶対に嫁にやらん。
今なら神子殿が婿を連れてこいと言った気持ちがよく解る。
あの時は何て我が儘な母親だと思ったが…。
「ひぃ。」
いつの間にかカリンが戻って来ていた。目が鋭い。
「昔だ昔!今は尊敬申し上げている!」
「ならいい。」
カリンは自分の主が少しでも、貶められると察知する能力があるらしい。一度読心術が使えるのか?と聞いたら…
「あ?」
と言われた。能力については教えてくれないらしい。親しき仲にも礼儀あり。とか何とか。
「そもそも、つぐみにも何の能力があるか聞かれた事が無いのになぜお前に教えねばならない。」
神子様第一主義だ。そこは揺るがない。
「娘よ。腹はいっぱいになかったか?」
「うん!美味しかった。」
娘を抱き上げやさしい笑顔で顔を舐めてやる姿は菩薩のようだ。そのまま乳母に子供達を任せる。
「では、行くぞ。」
俺はカリンに首根っこを加えられ、ペンタスに転移した。俺は神子様の護衛のため。カリンは…何をしているのかわからない…カリンは転移魔法が使えるらしい。
あの日もカリンがいきなり現れた。
俺は、ペンタス側の魔獣が増えたとの報告があり、普段ならその村の狩人やら子供達が遊び程度で狩りをするのだがペンタスが何やらキナ臭いからと、魔王様が騎士団を派遣された。
周囲を警戒しつつ、森を探索していた時、その白く大きな獣が飛び出してきたのだ。目が会い、剣を構えた…次の瞬間、その美しい前足で張り手を食らわされ、伸びてしまったらしい。らしいと言うのは部下の証言だからだ。
「婿に貰ってく。」
と、俺を担いで去ろうとしたため、彼は騎士団長だから、魔王様に報告が要る。頼むから魔王に一度会ってくれ。と部下全員で説得し、魔城まで、連れていったらしい。その途中で目を覚ましたが、ガッツリ捕まれ身動きが取れず。仕方なく部下に目を合わせたが、生暖かい目で見られた上に首を振られた。
その状態のまま魔王の前に連れていかれた。恥ずかしくて死ぬかと思ったが…
「あははははは。許す。何処えなりとも連れていくが良い。くっ。たまに、里帰りさせてやってくれ。プッ。」
こいつのためになど絶対死なん。と心に誓った。
その後は順調に愛を育くみ、可愛い息子と娘を授かった。一度神子様第一主義が理解出来ず、夫婦喧嘩(一方的な)になったが、可愛いものだ(魔王様が取り成してくれなかったら一族もろとも潰されていたが…。)
俺は幸せだ。
神子様を寝室へお連れした後、カリンが迎えに来てくれて、俺達はまた、魔国の里へ転移する。
これからは夫婦の時間だ。
花梨さんは基本猫さんなので、好きなところを移動しながら昼寝をしています。つぐみの所に居ることもありますが、つぐみに隠匿をかけて貰い寝ています。アカメには内緒です。




