カタクリの国治め 3
おはようございます。すみません。
シリアスが続きます。
僕たちは一度その番や捕らえたドラゴンを連れて王宮に戻った。
婚姻の書類が提出されているはずだと。婚姻が何時か解ればドワーフ国にも問い合わせしやすくなる。側近達にすぐさま書類を探すように指示を出し、ユーカリも教会にも式を挙げただろうから何か残っているだろうと、一度戻っていった。
結果は…もう、お分かりだと思うが何もなかった。式を挙げた様子もなく、書類もない。このドラゴン国に嫁いだ証拠もなければ戸籍も無いのだ。調べれば調べる程罪が積み重なっていく…。国への他国の者を不法侵入させるに不法滞在させるだ。
番だと言い張るこの元王族は書類上でも教会でも夫婦ですらなかった。
二件目もか!?
と身構えたが…比較的にはちゃんと名前も聞けたし、教会で式を挙げていたため、記録は残っていた。それなりに番の方々も理解があった。許せない部分はあるが愛情も大事にしてもらっていることも理解できると…。
九件目までは誘拐された番は居なかった。
五、六件目は人身御供の様に差し出された者達で、その者達は今の生活に満足していると嬉しそうだった。
その他の者達は家族と連絡が取りたいという希望が多かった。
共通で皆が訴える言葉があった。私、僕、自分たちは幽霊では無いと…ちゃんと存在して生きている。生活に参加していきたいと。少しでも、小さいことでも良いからやりたいし、やらせてほしいと。
ドラゴンが全部してしまうから寂しいし、つまらない。こっちもやってあげたいと。
その言葉を虫籠から聞いていた。威厳の無いドラゴン達は泣いていた。受け入れてくれていたこと、愛してくれていたことに気づいたのだろう。
ザマス夫人は少しほっとした表情をしていて、取り敢えず、この者達は保留。ただ国に報告していないから、国への婚姻の書類提出から始めさせたい。夫婦のリスタートには良いだろう。その話を含め教室を開く予定だから夫婦二人で必ず参加するように伝えていた。
僕は彼らに王籍離脱を通達した。貴族として領地を治めるか平民となり、自分で職を求めるかはその教室に通いながら夫婦で相談して決めてほしいと伝えた。
前回のような大きな拒否はなかった。
ユーカリが気にしていた八件目のカナリア族の番は…結果でいうならばラブラブだった。やっと姿を見せて貰えたから嬉しかったらしく、叔母上も受け入れてもらえたことを安堵し、愛を確かめあったそうだ。
3人ともはいはい。良かったね。でも、書類提出してないから教室には出ること!と念押しして部屋をそそくさと出た。出ないと色々始まってしまいそうだったのだ!
俺は少し…まぁ。少しだが安堵した。これからの人生を番狂いではなく、番を失った孤独者でもなく、夫婦として生きていける望みが出たのだから。
この者達の未来が明るくなるようにザマス夫人には是非ともバシバシご指導して頂きたい。
残るは最後。十件目。
この安心を僕は後悔した。
次回もシリアスです。