エルフ国にて 4
なんだかんだで140話となりました。
皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
「面目ない。」
私は今…皆から可哀想なものを見るような目で見られている。
何故ならばじじいの名前を知らなかったからだ。だって!じじい名のらなかったもん!知らんがな!
「王太后陛下、神様の名前が有名なのはこの世界の名前と同じだからですよ?この世界の名前はご存じでしょう?」
先程戻ってきたポトスに優しくさとされる…その優しさが今は寒いです。だって…!この世界に名前あったの!?って聞かなきゃ行けなくなるじゃん!更に大やけどだよ!
沈黙を保っていたら…。
「もしかして…魔王妃様は世界の名前をご存じないのでは?」
ぐっ。流石ゼラニウム抉ってくるわね。
「そうなのか?別に恥ずかしいことではないぞ。鶫。別の世界から来たのだから知らなくて当然だ。どうせ神も教えてくれなかったのだろう?」
コクンっと首だけ動かす。
するとブルーは私を抱き締めて頭を撫でながら耳元でささやいてくれた。
その言葉を噛み締めるように私は呟いた。
「セントポーリア」
一瞬にして明かりが物凄く明るくなった。目を開けていられなくなるほどの眩しさだけど一瞬で元に戻った。…と思っていた。
「はあー。やっと出てこられたぞい。このままかと思ったではないかー!誰もわしを呼んでくれんからちと寂しかったぞ。」
「じじい!どっから出てきた!探してたんだぞ!」
「逃げたと思ったらこんなことろに出てくるなんてぇー。やっぱり封印する?」
「いや。これ以上好きにさせないように水で洗い流そう。」
周りがドン引きしてるじゃんか!!しかも私が召喚したように見えるじゃん!
私は神様呼び出し機能なんて…そんな…!!
勝手に出てきただけたからね!
「さすが俺の半身。神まで呼んでしまうとは。鶫は凄いな。」
ブルー!よしよししないでー!要らないからそんな機能!
「えー。世界樹の変わりをこれでもしてたんじゃぞ?ちゃんと仕事するんで許してくれんかのう。大丈夫じゃ。マナの循環はわしに任せてくれ。それぐらいせんと後の一族会議でわしはまた正座せねばならなくなるかもしれんからのう。」
「はあ?正座確定してるけど??なにいってるの?朱雀呼ぶ?燃やしてもらう?」
萩さんや待ちなさい。マナは戻してもらわないとね。許さんけども。
「セントポーリアが神様の名前ですね!四獣の名前は役職名で書いておきます。名前が属性も表しているから一石二鳥ですし…。」
目の前に居る神様をガン無視してイチゴさんは魔方陣を仕上げていく。知らない人みたいだな?なんで?あったことあるよね?
「イチゴさんは神様を見ても驚かないのね?会ったことあるはずでしょ?」
こっちに送られるときにギフトとか祝福とかの話無かったのかな??
「いえ?神様と面識などありませんよー。神子と呼ばれてはいますが…神様と会ったことが無いと神子では無いのですか??」
「いえ…そんなことはないと思うけど。前の世界からこちらの世界に来る時白い空間??見たいな所に行かなかった??」
以前の神子だって神様に会ったことはなかったはずだから別に会えていなくても神子であることは変わりはないが…。
「??うーん?あっ!一瞬!通りすぎました!一瞬だったから忘れていましたわ。へへへ。」
「へえーー。一瞬ね。じじい?」
顔色が悪いわよ??何てことをしてくれたのかしら??罪もない魂をベルトコンベアみたいに移動するなんて!はぁ。取り敢えず萩の言う通り正座は確定。後程楽しみにしましょう。
「す、す、すまなかった。これは…その…新しい人生が良いかと思って…。取り敢えず!マナの管理はまかせるのじゃ!つぐみ!頼んだゾー。」
シュン!
とじじいは消えてった。
「萩?朱雀に伝えて。じじいを捕まえておいてって。」
萩が○をスライムボディで大きく作ってくれる。
「朱雀から任せろって!今度こそは許さん!って言ってるよ。鶫にお願いしたいことも出来たって。この件が済んでからって伝言。」
うん。と私は頷く。魔力生成の動作確認を少しでも省エネで出来ないかやっておかねばならない。もう少しでイチゴさんの魔方陣が出来る。
そうすれば私の出番だ。
「出来ました!!」
「皆!イチゴさん以外は離れてて!ブルー!プルメリアをお願い!行くわよ!!」
私は魔方陣に手を付き魔力を流し始めた。
魔力生成を全開にして魔方陣にどんどん魔力を流し込む。詰まりを取るのならば勢いが大事だ。ジェット噴射並みの流れがある方が良いだろう。
そして、詰まりが一つとは限らない。解けて循環が上手く行くようになるまで流し続けなければならない。
それまでは全力だ。
イチゴさんは世界樹の循環をずっと確認している。
「お姉さま、凄い!1ヵ所解けたよ!次の詰まりが出てきたけど真ん中まで行ったわ!このままの状態で流し続けて!」
「了解!」
手が痺れて来てるけどね!
「2か所目行ったわ!その調子よ!今は根の方まで行ってるけど…ここの詰まりが一番大きいみたい…お姉さまは大丈夫?」
「ええ!止めないわよ!私の手の魔力線が焼ききれようとも絶対に舐めない!」
例え私が魔法を使えなくなったとしても死ぬ訳じゃない。世界樹が救えなければ皆が全滅なのだ。手にはあかぎれのような小さな傷がで来はじめていた。裂け初めているのだろう。
「お姉さまは手が!!」
「余所見しない!貴方は世界樹だけ見てれば良いの!」
「…っ。でも!お姉さま!!このままだと!」
「世界樹は!?」
「あともう少し!お姉さま頑張って!!」
「鶫!負けるな!鶫がどんな傷を負うともずっと一緒だ!俺が側にいる!」
「母上!頑張って下さい!!皆で無事に帰りましょう!」
「心配するなつぐみのやる気をあげるコツは僕が一番良く解っている!つぐみー!これが終わったら僕がペンギン族の者達をカルミアに呼べるように手配してやるし、ハリネズミ族にも会わせて貰えるように頼んでやるぞ!」
何だって!!マジが!?頑張ります!
私のやる気は天井を突き抜けた。
いよいよエルフ国も佳境です。
ブルーにとって真のライバルはジークではなく花梨なのでは?花梨と鶫の絆は世界を越えていますので誰にも負けません。