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はぁ? 完結!  作者: 千桜
第三章 外遊編
138/154

閑話 魔王様の蜜月の裏側

今回は魔王城の人達の視点です。


最近話をしていて…方言だと思っておらず…それ通じないよ?と言われました。

もしかして…通じると思って書いている言葉が方言ではないかと気づきました。


申し訳ありません。でも、知らなかったんです!

暖かい目で…雰囲気で読んで頂けたら嬉しいです。


よろしくお願いします!

コンコンコン


シーン。


コンコンコンコン。


シーン。


どんどんどん。


シーン。


ドンドカダンガン。


「…チッ。なんだ。」


艶かしいガウンがはだけ胸元が見えた状態で少しドアを開けたのはうちの魔王陛下だ。

メイドを側に連れてなくて良かった。この状態の魔王の妖艶さに当てられていただろう。

私はこの魔王城の執事長をしているアジサイだ。父からの代でここの執事を担わせて頂いている。父は魔王陛下が幼少の時期から使えていたが、羽が衰えてきたとか何とか訳がわからない理由で私が執事長をやることになった。

因みに魔人ではない。烏天狗族だ。妖魔族と言うと解りやすいかもしれない。

そして、さっきからの音はお気づきだとは思うが…今日こそは!と意気込んで部屋のノックをした。手が痛い…。


「1ヶ月です。」


「だからなんだ。」


「部屋に籠られてから1ヶ月です!」


「そうか。まだそんなか。」


「そろそろメイドやら侍女やらを入れさせてくださりませ!魔王妃様が死んでしまいます!」


「半身にそんな無体を強いるわけないだろう!ちゃんと妻の意見を聞きつつ話し合いながら蜜月を過ごしている!ちゃんと元気に返事をしてくれているし、食事も私の手から食べさせている!」


いきなり焦り出したな。魔王妃様の事になるととたんに少年の様になるな。しかし…それはアンタが鳴かせているんだろうが!しかも都合のよい返事をさせているだけだろう!食事を陛下が食べさせているとは…魔王妃様の苦労が忍ばれる。半身を得た魔人は別人になると聞いたことがあるが…変わりすぎだろう。同じ魔人である宰相様に相談しても…


「そんなもんでしょー。私めならばもっと酷いかもしれませんねぇ。私の時は邪魔しないでくださいねぇ?」


とか言って魔王様の執務を肩代わりをせっせとしてやっている位だ。


「邪魔なんかしませんよ!そんなに蜜月を大切にしたいならば山に籠ればいいんじゃないですか?」


と言ってやったら目を輝かせて


「いい考えですね!執事長最高!」


と言われてしまった。宰相の半身になる方すみません。山籠りになってしまうかも…。


「いい加減にしてくださりませ。蜜月を止めろと言っているのではありません。メイドや侍女を入れて魔王妃様のケアをさせて下さいと言っているのです。せっかく通じ合えた半身から嫌われたいのですか?」


「仕方ないな。1ヶ月ならば執務も貯まっているだろう。我妻に休息は必要だ。私は執務室にいくからその間妻の世話を任せよう。」


魔王妃様のためと詠うとすんなり通った…。嘆かわしい。魔王妃様とお会いするのはあの日以来だ。魔王陛下が遂に半身を得られ、夫婦の契りを交わされた日。魔王城全体がお祝いムード全開になり、私も部下や仲間達と祝杯を挙げた。

すぐさま魔王妃様に使える侍女を選別し、メイドも選び抜いた。拝謁頂ける日をイマカイマカと待ち続け…。1ヶ月かかるとは思っていなかったな。

私は侍女とメイドを呼び出した。


「失礼します。」


部屋に入ると…我々はすぐさま窓を開けた。理由は聞かないでくれ。魔王妃様は健やかに就寝中だ。良かった…。シーツ等はちゃんと変えてあるようだな。

あっちの山のようなシーツは見ないようにしておく。

メイドは唖然としているが…。君の初仕事だ。がんばれ!!


「執事長。私はまずは湯を張り、湯殿のお手伝いをしつつ、お妃様の体の状態を確認したいと存じます。」


流石は優秀な侍女だ。最優先を理解できている。


「ああ。それが良い。見落としの無いようにな。医者が必要な場合は直ぐに声をかけてくれ。あと、食事のことだ…食べられそうか、好き嫌いも聞いておいてくれ。」


「かしこまりました。」


ある程度部屋の整頓が整った頃魔王妃様にお声をかけた。完璧な掃除はお妃様が湯殿にいかれてからだ。


「魔王妃様。おはようございます。そろそろお時間でございますよ。」


魔王妃様は最初誰か解らずフリーズされていたが、段々状況を理解され、顔を真っ赤されていた。とても可愛らしい。


「あの…その…おはようございます。ブルー…いや。魔王陛下はどちらに?私…すみません。こんな格好でー。」


シーンを自分に張り付ける勢いで巻かれている。魔王陛下がここに居なくて良かった。こんな可愛らしい姿絶対に離さなくなるし、色々と始まってしまうだろう。


「ご心配なく。陛下は今までの報告やら執務の為お仕事へ行かれました。妃殿下のお世話を申しつかりました執事長のアジサイです。これからよろしくお願いいたします。侍女とメイドの紹介は後で追々致しましょう。まずは妃殿下湯浴みはいかがですか?」


「ありがとう。ゆっくりお風呂に入りたかったの。今までご挨拶もできずごめんなさい。魔人族の風習らしくって…。皆が来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね。」


笑顔でお礼を行ってくださるなんて!!陛下や宰相なんて表情筋ないんじゃない?って言われていたのに!皆がキュンとした瞬間であり、魔王城のエッセンシャルワーカー全てを味方に着けた瞬間だった。



この日魔王の理想の蜜月は終わりを告げた。

魔王城使用人全体とと魔王妃様のダッグにより2人で過ごすのは夜のみとなり、普通の新婚夫婦状態に移行された。

どんなに魔王が部屋にこもろうとしてもドアは開かれ、侍女やメイドが押し掛けるし、コックが料理を運びに来るしまつ。それはメイドの仕事だろうが!と陛下が怒鳴っていたが皆がスルーしていた。魔王妃様に至っては喜んでシェフと料理について話している。明日の朝食のリクエストを嬉しそうに受けていた。陛下には誰もリクエスト等聞かなかったが…。お茶は私が自ら準備し、茶菓子は侍女が魔王妃様の好みを考え選び抜いていた。この茶菓子は候補を募っていて、かなりの募集が魔国全体から来る様になっている。現在では魔王妃様茶菓子争奪戦の様子で盛り上がっている。また、魔王の味方であるはずの宰相まで寝室に魔王を迎えに来るようになってしまった。

時代の流れにはいくら国のツートップと言えど逆らえなかったと言える。

しかし、あまり笑顔のなかった魔王城に明るさや優しさが増え過ごしやすくなったことは明らかだった。

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