閑話 魔王様の蜜月
おはようございます!
いつも読んでくださってありがとうございます。
今日はブルーの視点での3ヶ月間を書いてみました!
R15程度の表現がございます。苦手な方はスルーして下さいませ。
俺は今生きているなかで一番幸せな日々を送っている。
はずだった…。
「魔王妃様ー。この前エルフの国からお茶が届いたのです!飲んでみませんか?」
「魔王妃様?こちらのお色の方がお似合いですわ。次のドレスはこの生地で仕立ててもらいましょう!」
「魔王妃様ー。撫でて?」
ゴチん!!
よし!不埒ものは処分した。
もう一度言おう。俺は蜜月を過ごしているはずだったのだ。いや。正確に言えば過ごしていた。
1ヶ月程は…。
夫婦の契りを交わしたあと鶫はカルミアへ帰ろうとした。俺としては初夜だ!と必死に引き留めた。すると彼女は何故初夜になるのか?と不思議そうに首を傾げていたので取りあえず唇を噛んでやった。
可愛すぎる鶫がいけないのだ。
真名の交換は夫婦の契りだと俺は丁寧に説明し、結んだ以上今日が初夜だと押し通した。
え?教会通してないじゃんって?
ははは。鶫は思い浮かばなかったのだから良いのだ。
それにカルミア国王が成人したら盛大な結婚式は挙げるつもりだしな。
鶫の花嫁姿見るに決まっている!!
うん?この場合俺が花婿か?
そういって鶫を俺の寝室に止め、メイド達に蜜月の用意を申し付け、宰相に執務の当面の代行を指示した。
「代行承知いたしました。最近ストレスで大変でしたから魔王妃様に存分に甘えて来てください。変わりに私が半身を得た場合はよろしくお願いしますねぇー。」
と笑顔で手放しで協力してくれた。魔人にとって蜜月は何よりも大切にしなければという共通認識のお陰だ。そして、執務室から寝室へとんぼ返りし、食料とシーツを毎日届けることだけは許すがそれ例外は緊急時のみ連絡するようにと執事長に告げた。めちゃくちゃ嫌な顔をされたが…。
この日から俺と鶫の世界はこの寝室のみとなった。鶫はそれはそれは可愛く愛おしく愛らしかった。
愛とは色んな呼び方があるのだと知った。鶫の世話もとても楽しくスプーンすら持たせなかった。そういえば食事をする鶫の目は何故かうつろだったな。
そろそろ1ヶ月経つ頃。
「ブルー?いい加減外に出たないなぁ。ご飯も自分で食べたい。最初はスプーンも持てないくらいキツかったからお願いしてたけど、この頃は体力も着いたからご飯くらい自分で食べられるわ。」
「そうか…。残念だが、鶫の希望ならば仕方がない。食事は鶫の言う通りにするよ。だが、外はダメだ。魔人族の風習なんだ。部屋に居ないとな。」
あれだけ抱き潰しているのだから体力も付くか…。鶫の回復力は桁外れだからな。鶫が本気になればここを出ていくことに何ら支障ない。だが、俺の意思を尊重しようと鶫は聞いてくれている。俺だって蜜月は譲れないのだ。
「そうなんだ。解った。風習ってどれぐらい?私も国があるし、ブルーだって王様さんだから執務があるでしょ!?」
俺の気が済むぐらいと言えたならどんなに幸せか!
「3ヶ月位だ。」
俺はぐっと堪えて答えた。
「宰相は同じ魔人だから解っているし、指示も出してきた。カルミアにも鶫の事は知らせてあるから心配要らないぞ。愛する人。そろそろ難しい話はそれまでにしてこっちへおいで。」
俺は鶫の手招きして膝に座らせ髪を撫で、ブラシですいてやる。鶫も気持ち良さそうにしている。
何気ない会話に2人だけの空間。最高!
そう思って就寝し、鶫を堪能した次の日の朝。
それは鳴り響いた。
ドアを仕切りに叩きまくる音が聞こえだし、最後には蹴り始めた。
なんだがブルーが腹黒さんに…。
魔王をやれちゃうんだから清廉な訳がないのですが…囲おうとする半身を得た魔人は内面がこんな感じかもしれません。
ごめんなさい。
鶫に至っては注がれる愛に溺れてしばらく思考を停止しています。
でも、長くは続きません。愛し合うということを鶫は前世では、あまり叶いませんでしたがジークで教えてもらっています。ジークがいなければブルーに落とされていたかも…。