帰還から2日後
ザマス夫人のご帰還です。
目の前には見るからにやつれたカンナとアカメとスリムボディになってしまった萩がいる。
それと、突っ込みたくないけど…その、それ…。
グラジオラスくんじゃん?何でいるのよ!連れてきちゃったの??しかも、同じぐらいやつれてるし…。
ザマス夫人の指導グラジオラスくんも受けちゃったの?
「カンパ…」
ビクッとして、4人は背筋が伸びた。
「うん。君たちがどんな指導を受けたのかは良くわかったよ。カンパニュラ夫人の指導が衰えること無く冴え渡っている様で良かったわ。で?何故指導を受けたのかは理解できた?萩、カンナ、アカメ?」
首を上下に高速で降っていた。何か懐かしいな。
「私の強さは関係ない。私はこの国の王太后。守られる立場なの。王宮内でならばまだ、他にもカバー出来るし騎士団もある。でも、貴方達は外遊中に私の許可無く持ち場を離れた。萩はミニハギが要るから大丈夫と思ったのかもしれないけど、それはハギのみ適応されること。カンナは近衛騎士団長なのだから代わりはいない。アカメは宰相の預かりになっているにも関わらず、許可なく、ハギの要請のみで国境を超えた。ただの騎士が。それに、ハギは宰相預かりの騎士にいつから命令出来るようになったの?覚悟は出来てる?」
「「「申し訳ありませんでした。」」」
「それと、グラジオラス殿下がここに要るって聞いてないけど…。ポトスは許可出したの?私は聞いてないよ?」
ポトスにも目を向けた。
「国王陛下にご報告し、許可を頂いております。獣王様にも直ぐに一報入れた所。獣王様直々にお願いがああり…。しばらく、グラジオラス殿下はカルミア国預かりにして欲しいとのこと。国内では居心地が良くないだろうからと…。」
親心か…。でも、グラジオラスくんのやらかしたことを考えたらその非難も甘んじて受けないといけないのでは?とは思うけど…親としては守ってあげたいよね。
「わかった。親からの承諾があり、陛下の許可が有るのなら私からはなにもない。グラジオラス殿下学びなさい。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
キレイな礼をした。グラジオラスくん!凄いじゃない!ザマス夫人!さすがー!
「その事でカンパニュラ夫人からお話したいとのことです。」
「解ったわ。」
そろそろ、必要だとは考えていたのだ。カンパニュラ夫人を筆頭にカラーとリンドウにも声をかけて話し合わないとな。それと…3人の処罰は…どうするべきか…。アカメとカンナはもう、騎士無理じゃない?だって、自分達の愛情というか…友情というか…が優先で主君無視って…。騎士に向いていないと言うよりは、騎士とは言わないのでは…。その二人を護衛騎士にしていた私って…。
「ポトス、処罰の内容は考えてる?私は罷免。でも、今回は私も…その…持ち場を離れたから…ポトスの意見を聞きたい。」
3人の顔色が悪くなる。
「そうですね…。王太后様は持ち場を離れた訳ではありません。時期が早まっただけだと皆が思っていますので、悪しからず。ご自分をお責めになりませんように。ワンチャンと言ってもアカメは二回目ですからね。騎士なのに愛を優先するのは。それに、はっきり言ってカンナもハギとアカメよりも国を優先させることは出来ないと思います。」
ポトスー。そんな風に思ってくれてるんだね。お母さん嬉しいよ。でも、アカメとカンナの評価は…だよねー。私もそう思うわー。ダメじゃないのよ。素敵な考え方よね。騎士でなければ。
「なので私も考えたのですが、罰となるように罷免をお勧めします。ですが、悪いことばかりではありません。冒険者となれば、国を跨いだ修行もしやすくなりますし、マッピングも冒険者であれば、他国の許可は必要ありませんしね。ちょうどカリン兄上が妊娠されたので、ギデオン大公の護衛をどうするかと悩んでいましたが、冒険者となれば修行の鬼に護衛依頼がかけられます!」
「なるほど!素晴らしいわ。ポトスー!」
一石二鳥ね!いやー。ポトスの成長が著しいわー。
「では、カリン騎士団長、アカメ卿の罷免を申し渡す。期限は1ヶ月。引き継ぎ等を行い、王宮を去りなさい。萩はその間の謹慎を申し渡す。二人との面会、修行も禁止。」
「「「お受けいたします。」」」
3人とグラジオラス殿下は退出していった。
では、お呼び致しますか!!
「ポトス、彼女を。」
カツンカツン。
素晴らしいカテーシー。一切体がぶれない。
「お久しぶりにございます。王太后陛下。この度、陛下の思し召しとのこと。僭越ながら罷りこしましてございます。」
私も師匠にカテーシーを返す。
「お師匠さまお久しぶりにございます。若輩である私の呼び出しに応じてくださり感謝いたします。来てくださって嬉しいわ。王宮を辞されていたとは知らず申し訳ありません。お師匠様が王宮指導におられないなど国の損失ですわ。お力を御貸しくださいませ。」
カンパニュラ夫人は眩しそうに私を見ていた。
「ご成長なさいましたね。あの時の指導を急いだことが果たして正しかったのかと…ずっと、悩んでおりました。陛下に無理を強いたこと…国に遣える者として、私も同罪でございます。本当に申し訳ありませんでした。」
カンパニュラ夫人は深々と頭を下げた。
こうやってペンタス時代の臣下に頭を下げられたのは初めてだ。殆どが罪人として服役しているから会っていない。涙がでた。私はこれでもう一つ許す事ができる。この国の貴族達を。
「謝罪を受けよう。カンパニュラ夫人。これからはカルミアの臣下として貴族への教育に邁進して欲しい。」
「身命をとしまして。カルミア国へ忠誠をお誓い致します。」
カンパニュラ夫人には今のところは王宮顧問として王宮の者達の指導や、私の相談役。そしていずれはプルメリアやグラジオラス殿下、後に訪れる竜王カタクリ殿へ教師となって頂くことが決まった。
アカメのカンナと萩はこれではれて冒険者となれました!
次は魔王がやってきます。