トーナメントの後 side セバス
トーナメント後のセバス視点です。
少し長めです。
よろしくお願いします。
~sideセバス
「セバス。僕、無事にハーレム持てたよ。ありがとう。だから、安心してくれ!セバス、アカメの事でずっと気にしてくれていただろう?まぁ、お家を建てたり、まだまだ、やることあるけど…。」
カリン様の笑顔がやっと見られた!私は安堵し、目には涙が滲んだ。私の最初の子供。
思えば、カリン様は何故か最初から私に懐いて下さっていた。
「妃殿下のお側に居なくても良いのですか?」
と声をかける私に、カリン様は
「お前の側が一番落ち着く。昼寝には一番だ!神子は俺が昼寝しているとじっと顔を見て眺めている時がある。あれ、正直ウザイ。」
…辛辣だった。
たが、受け入れて貰えたことが嬉しかった。それからは仕事がない日のほとんどを私の執務室でカリン様は過ごされる事になった。
そうなるとキキョウ様やハギ様も私の部屋に寄るようになり、会話が増え、お茶を共にするようになり、とどんどん時間が増えた。私的な時間など持ったことの無かった私が…。
まぁ、当時の妃殿下の嫉妬は凄かったが…。
キキョウ様に嫁取りの相談を受けた時は張り切ってしまったが、キキョウ様にお父さんと読んでもらった時は驚きと喜びで頭が混乱し、冷静を保つ事が難しかった位だ。
だが、私はアカメ殿とのことで、間違えてしまった。私自身は独身でパートナーを持っていない。仕事ばかりしてきたせいか、家族を大切にし、守ることは、考えたことはなかったのかもしれない。
人をどう動かすか、どう扱うか。執事として家を管理運営するためのノウハウは万全。自負もあった。
アルメリア家の方々も大切にしていたし、ポトス様やストック様の教育にも携わって来た。お二人ともご立派になられた。贔屓目で見ても慕って頂いていたと思う。前ご領主であった、ユーカリ様は大人になってからお仕えした為修正できなかったが…。
そう、どう修正するかと考えていたのだ。
王太后様の指摘で気づかされた。それからは私もカリン様と勉強させて頂いている。
家族とは?夫婦とは?答えの無い質問を…。
カリン様は一歩を踏み出された。ここからがスタートだ。夫となる方々が…頼りにできる方がたくさんいるのだ。悩みもあるだろうがその分幸せもたくさんあるだろう。カリン様の笑顔があれば、大丈夫だと思えた。
「お家は王宮の外だが、お昼寝はずっとセバスの執務室だからな。俺のクッション移動するなよ!」
「くすくす。解っておりますよ。カリン様の親離れは遠そうですなぁ。」
カリン様はお優しい。私が旅立つ我が子に寂しさを感じている事を解ってくださっているのだろう。頷いた。
「次はリンドウとキキョウのことだろう?俺も立ち合おうか?」
兄上として心配されているのだろう。だが、ハーレムが始まったばかり、まだまだ話し合わねばならないことがあるだろう。獣王様が本邸が出きるまでの仮宿を提供してくださったので、この後皆でお引っ越しするのだ。
「大丈夫でございますよ。状況はハギ6号を通して報告しますし、お引っ越しは大事ですよ?部屋割りやら何やらあるでしょう?キキョウのことはお任せ下さい。こちらが片付けば私もお手伝いに参りますので。」
少し、悩まれた後。
「解った。頼んだぞ!父上!」
私は鼻を手で押さえた。出さなかったが…。危うかった…。
良く鼻血を出される王太后様の気持ちが理解できてしまった。
頷き。私はその場を後にした。
ここは極寒か?私はどこに来たのだろう…。ブリザードが…。リンドウの部屋を訪ねたはず…。
キキョウ様とリンドウが無言で睨み合っている。
「はぁ。リンドウ。王太后様の言葉をお忘れになったのか?獣人は言葉が足りないと、なるべく言葉にして自分の気持ちを相手に伝えねば。」
「キキョウ様?リンドウは獣人なのです。カリン様の件をご存じでしょ?キキョウ様も龍とは言え、本能のは理解できるはず。龍の本能を理解して欲しければ言葉で伝えて下さい。」
二人ははっとして私を見た。
「「ごめんなさい。」」
「謝るべきは私にではないでしょう?」
「「ごめんなさい。」」
二人は向き合って謝罪した。素直な子達だ。
「どこまで話し合えたのですか?」
「決闘する事になって、リンドウが了承したことろまで聞いた。私は必要ないと答えた。決闘の話事態反古にして良いと…。すると…リンドウが」
「了承できかねます。と答えました。一度受けた決闘を反古にすることは獣人として、死ねと言うことと同義です。そうお思いか?と問いました。」
「そんなわけあるわけ無いだろう!そもそも私が預かり知らぬ所で私の嫁取りの決闘を勝手に申し込むこと事態間違いなのに…受けたと言われて…。そうか、解った!なんて言えるわけがない。」
確かに…。ごもっとも。
そもそも、ヘビ族のやり方事態が間違っているのだ。キキョウ様がNoを突きつけているのに、嫁であるリンドウに話を飛ばして持っていったのだ。
ルール違反である。これを許せば他の種族の決闘もリンドウは受けなければならなくなる。
リンドウは強いようだが、負ければその代償はリンドウだけでなくキキョウ様も払うのだ。
この場合キキョウ様の負担が大きいだろう。
「キキョウ様は私の事が信じられないのですか?私が負けるとでも?決闘を申し込まれた以上、受けなければキキョウ様の正妻として恥です。逃げたと思われるのですから!そして、私を負かすほどの強さを持つ者なれば私は受け入れます。同じ妻としてキキョウ様をお支えいたします!」
「リンドウの事は信じているよ!強さも解ってる!でも、リスクもあるだろう?負けたとき受け入れなきゃいけないのは私なんだけど!?妻はリンドウだけでいいって何度も言ってるでしょ!」
「知っています!ですが…私は…。確実にキキョウ様より早く死にますよ?というか永遠の命や不老も望んでいません。私が死んだ時の継ぎをしっかり決めて差し上げたいのです。たくさんいれば、少しはキキョウの気持ちを軽くしてあげられると思うのです!」
寿命か…。その事については考えてなかった。確かに…リンドウは結婚の際キキョウ様と寿命を繋げる事はしなかったようだ。キキョウ様の顔が陰る。
「だから、リンドウにも僕と同じ…」
「それは私には無理です。生きとし生けるもの全てに終わりがある。だから精一杯生きる。寿命が長いことが悪いとは言いませんが、短いこともまた、悪いことだと思いません。」
我が強すぎるもの達が多すぎないか?カリン様やアカメ殿でも思ったが…。私は人族で平民出身だから、魔力もほとんどない。力も普通だ。だからか柔軟だ。自分を押し通すには力が必要。自分の価値観に片寄っていては生きていけなかった。強いものほど頑固で意思を曲げないものが多い気がする…。
この話もどちらも間違ってないしな。
私はどちらかと言うとリンドウ殿よりだ。
永遠とは言わないかもしれないがそれに近い寿命を生きることは覚悟がいる。私には無理だろう。
長い沈黙の後。キキョウ様が口を開いた。
「決闘は解った。リンドウの強さを信じてる。負けたとしてもリンドウの夫は私だ。私も責を負おう。だが、君が認めた者だけだよ。そして…寿命に関しては聞けない。君が死ぬなら私もだ。私の寿命についていけないなら私がリンドウの寿命についていく。」
リンドウ殿は驚いた様子だったが、目を閉じ長考の後口を開いた。
「キキョウ、ありがとうございます。あなたの妻になれたこと誇りに思います。あなたと共に人生を終えるなんて私は幸せ者ですね。1日を大切に過ごしていきましょうね。ご安心くださいませ。私は負けませんよ。」
「キキョウ様、リンドウ殿。良く頑張りましたね。話し合い、二人の境界線を見極められた。誰にでも出きることではありません。セバスは誇らしく思います。リンドウ殿これからもキキョウ様をよろしくお願いします。」
二人は深く頷いていた。
リンドウとキキョウの話し合いも無事に終わりましたぁ。
何とか四獣も落ち着いたかな?
次は鶫視点に戻ります!
ブクマ有り難うございます!!
めっちゃ嬉しいです!