ドワーフ国へ 2
台風が怖い時期に入りました。
皆様お気をつけくださいませ。
「我々ドワーフにとって酒は命の水と同等なのです。なければ枯れてしまう。働く気力が失われてしまいます!!」
「…。」
このガチムキのおじ様はドワーフ国の宰相さんとのこと。王様は例のごとくホリホリ。なんか張り切って坑道に潜っちゃったらしい…。国賓じゃないの?私…。まぁ、使節団には王様が対応してくれたみたいだけど…。普通逆じゃない?
宰相さんそこまで?アルコール中毒は大丈夫ですか?そっちを疑いましょうよー。
「陛下、ドワーフは総じて酒に強いんだ。酒に酔うことはあっても呑まれることはないし、アルコール中毒みたいな病気は人族だけだよ。心配しないで?」
ギデオンが先を読んで説明してくれた。ギデオンが優秀なのよー。冷や汗が出るよー。
この酒の件はよく聞かれる質問らしい。何故なら人族と飲む量が全く違うらしい。樽のみが普通だとか…。水分ってそんなに飲めなくない?
まぁ。病気じゃないなら、儲かるから良いか。
「我が国の酒を気に入っていただけたと考えても宜しいですか??」
「はい!特にビールと焼酎が!あんなに炭酸たっぷりの濃いビールは初めてです!泡も柔らかい!そして焼酎!酒が強い私達にも満足の度数!少し癖が有るところがうまいです。ドワーフ国に酒を輸入して頂けるのであれば、協力は惜しみません!トンネル早く掘っちまいましょう!トロッコも喜んで引かせて頂きます!早く調印式用の書類くださいませ!」
「よろしくお願いします。」
ドワーフ国の明日が心配だ…。
調印式は直ぐに終わった。本来ならちゃんと書類の内容読んで調整してからの調印だが…。ある程度使節団とポトスでやっていたとはいえ普通はこんな会って直ぐなんて事はない。私の仕事が終わってしまったではないか!?
「すまねぇな。王太后様よー。ドワーフは酒に目が無いんだ。勘弁してやってくれ。だが、お陰でトロッコ引けるぞ。今日兄上がいないのはその所為だ。トロッコにつけるための魔石を掘りに行っている。特大のな!ギデオン良かったな。魔石を入れる許可がおりたぞ!」
「本当に!やったぁ!許可が降りないんじゃないか心配してたんだ。でも、許可が出て、特大の魔石なら今のトロッコの規格じゃ足りないかも…特大なら出きることが増えるし…。レシピ考え直さなきゃ!王太后ーー!」
はいよー。バッチコイ!君はその道をお行きなさい。私は笑顔で頷いた。それなのに…ギデオンが何故かポトスを見た。こら!そっち見るんじゃない!要らんこと思い出すな!
ギデオンと目が合い、焦るポトス。目が泳ぐ泳ぐ。
「あっ…。ごめんなさい。僕、案内の途中だった。それに、僕はこれからお嫁さん探ししなきゃだし…。バイモ親方にお願いするよ。改良お願いね。」
「はぁ!?無理に決まってるだろ!お前のレシピは誰もいじれないぞ。レンギョウにも無理だ!お前がレシピ考えるって思ったから特大の魔石をお願いしたんだぞ!」
バイモの目が裂けるのでは?というぐらいに見開かれている…。首を振りすぎてバイモの残像が見えた。うわぁ。ホラーだ。
はぁー。ポトス後で覚えてろ!
「ギデオン?仕事を途中で投げ出すのは無責任ではなくて?皆貴方に期待しているのよ?私とポトスも同じ。王族としてもこの事業は失敗できないことは解るでしょう?貴方の力が必要なのよ。」
「王族として?」
本当はまだ、トンネルとトロッコがちゃんとしてからと思っていたんだけど…。
「ええ。トロッコだけでは無いわ。これからは国を一周する鉄道も欲しいの。トンネルだけの荷物運びでは他の領地が遠いでしょ?鉄道があればと思っていたの。そうすれば直接ドワーフが生産地にお酒を飲みに旅行に行くことも出きるし、獣人が魔道具やグラスを買いに行くことも出来る。人の往き来が楽に出来るわ。国の主産業となる酒事業と観光業の助けとなるのよ?王族として何れだけの功績となるか計り知れないわ。」
「鉄道ってなんだ?」
バイモが食いついてきた。
「鉄道とはトロッコの特大バージョンで人や荷物を多数運ぶことが出来るわ。」
「へぇ。そいつはいいなぁ。それをドワーフ国まで繋げればこっちまで獣人を呼び込むことができるな。この国には保養所もあるし、温泉も有るんだ!」
「温泉!?行きたい!こっちじゃ入ったことないわ。ギデオンは行ったことあるの?」
「そう言えば聞いたことがあるけど…行ったことは無かったなぁ。温泉かいいなぁ。地熱があるってことだよね?マグマからの力を何かに使えないかな?調査しないと…。鉄道の動力をどうするかが鍵だ!バイモ親方!直ぐに連れていってくれー!!」
よし!軌道修正完了!
何処の時代もエネルギー問題にぶち当たります。