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はぁ? 完結!  作者: 千桜
第二章 カルミア国編
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姉と妹 sideギデオン

まだまだ、続きますー。


何故ギデオンを自由にさせていたのかー。


最後に解ります。


今まで書いたお話の中でも最長の回になっちゃいました。


「ギデオン大公?どうされたのですか?顔色がお悪いですよ?王太后陛下にはたくさん人がついています。少し休まれては?」


とても優しかった。寒ざむしい心が温かくなった。ポトスはずっとギデオンには優しくしてくれていたのだ。

「大丈夫だ。政務を関わることは出来ないが、書類整理は出きるよ。プルメリアも王太后宮にいるから何かと忙しいだろう。手伝うよ。」


「ありがとうございます。助かります。」


いつもの笑顔だった。ほっとした。書類の仕分けを手伝っていると、ユッカが戻って来た。僕を見て頭を下げた。それもいつも通りだった。ユーカリが言っていたのは教会側の意見なんだろう。あんなに前のめりで言わなくても…。と思っていると。


「魔王様から通信だよー。」


「ハギ兄上ありがとう。魔王様。こちらは宰相ポトスです。ユッカとギデオン大公が共におります。」


「そうか。挨拶は割愛するぞ。神子の容態はどうだ?」


「ギデオンです。熱は微熱程度にまで下がるようになっていました。私がいた時間までは眠っていましたよ。」


「ユッカですじゃ。先程の報告ではスープを半分飲まれたとのこと。少しお話もされたようですじゃ。」


「そうか。良かった。お前達も一安心だろう。政務が大変だろうが…すまぬ。こちらもエルフ国の関係で大きくは動けん。俺が協力できんと突っぱねたら、あいつら圧力をかけに来やがった。ったく、俺が闇の精霊王のお気に入りだからって、何故エルフと…。俺を犯罪者にするつもりか!!そちらとはまだ、没交渉だから何とも言ってこないだろうが、魔国は神子に対して要求することはない。エルフ国も神子の価値すら気づいていないからな。そのまま隠し通せ。だが、あいつら薬で対抗してくるかもしれん。先程ユーカリにも注意はしておいた。治癒に関しては教会と話してくれ。ユッカ。獣人国にも注意喚起をしておいてくれ。ギデオンはバイモに話しておいてくれ。」


「「「承知」」」


「それと、10分でもいい、神子と会えるようになったらその…顔だけでも見たいのだ。」


「セバスに伝えとくー。後でセバスから連絡して貰うから待ってて!」


「ありがとう。ハギ。皆ではな、連絡を待っている。」


「ハギはセバスのとこ行ってくる。」


「不味いな。エルフ国は薬師の国じゃ。やっと出回る様になった薬が消えるかも知れんな。」


「魔王様がエルフへ対策してくださるとは思いますが…エルフも事は世界樹のこと。中々引き下がらないでしょう。」

ポトスもユッカも顔色が悪い。魔国と交流するようになってエルフの薬も輸入できるようになった。昔は高額だったが…少し頑張れば買える位の値段に下がり、民達も喜んでいると聞く。


「なるべくエルフ国の情報を集めましょう、魔国の情報には劣るかも知れませんが多方面からの情報はあった方が良いでしょう。」


「だな。わしも獣人国から話を聞いてみよう。」


「僕もバイモやレンギョウ親方に聞いてみるよ!」

僕達3人は頷きあった。やっぱり、ユーカリは気のせいだ。そうだ。カタクリの事も留学してくるんだし、聞いてみよう。


「竜王の留学の事はどうなってるの?」


「さぁ?こちらには…ああ。そう言えば、国の事が忙しく今は無理とのことで延期になりましたよ?」


「えっ?何で?国が大変なの?竜王大丈夫なの?」


「さぁ?そこまでは解りません。」


「何で?情報は?竜王が危ないかも知れないんでしょ?」


「何故ですか?他国の内情ですよ?集める必要ないですし、竜王が危なかろうとこちらにはあまり関係がありません。内政干渉になりますから。」


ポトスが何を言っているの解らなかった。僕の番が危ない目にあってるかもしれないのに…。

「内政干渉ってそれを言ったら魔国はどうするのさ。」


「魔国やドワーフ国、獣人国への信頼度が違います。以前から交流があり、共同事業も行いますし、魔国はカルミアをいつも助けて下さっていますし、輸入もしています。ドラゴン国は交流が始まっただけです。信頼度も何もありません。手助けするメリットもありません。」


「メリットって僕の番の国だよ?魔王様も王太后様も20年以上経った後なら番になるのことを許してくださったよ。」


「そうですか。おめでとうございます。お幸せに。」


「何で?そんな他人行儀なの?」

何でそんなに全く興味のない顔で答えるのだろうか。笑顔なのに寒さを感じる。


「ギデオン大公は何を仰りたいのですか?」


「いい加減になされ。我々はカルミアに利をもたらさない婚姻に興味はない。そんなに心配であれば今からでも嫁がれれば良かろう。番のサポートをして差し上げれば良いのだ。他人を宛にせず。ご自分でな。我々も止めはせぬ。王籍を離脱し、王族であったことも抹消してもらうがな。」


ユッカの目に怒りが見えた。ポトスとは対称的だ。なんでこんなに温度差があるのだろう。

「利をもたらさない?」


「ああ。全くじゃな。むしろ害しかない。」


「ユッカそれくらいで。言い過ぎですよ。今はまだ王族なんですから。」


それじゃあ王族だから、丁寧に接してるに過ぎないって言ってるみたい…。


コンコンコン。ガチャ。

「私だ。入るぞ。」


「陛下、ノックの後に名前を名乗ってからドアは開けるのですよ?何度言えば覚えて下さるのですかね?」


ポトスの顔は叱っているのに柔らかだった。私に向けている物と全然違うと解る。


「時間がない。書類寄越せ。わざわざ私が来てやったのだ。ボサボサするな。今日は30分ある。なんだ。ギデオン来ておったのか。」


「はいはい。こちらが未処理の書類です。魔王様の面会ですか?」


「ああ。母上も少し落ち着いておるし…四獣達は相変わらずベッドから降りぬがな。ユッカ、母上の体調が戻ったとしてもしばらくは静養が必要だろう。使節団派遣は見送りにして欲しいが…無理なら母上抜きで行くしかないな。」


「共同事業の件もございますから見送りは難しいですな…。王太后様のご訪問とは分けて日程を組みましょう。彼らも否は言いますまい。王太后様のご訪問がなくなる方がうるさそうじゃ。使節団は予定どおり派遣致します。」


途端に皆の顔が笑顔になる。誇らしげで仕方ない顔も覗かせて…。


「くすくす。確かに。なんじゃ?ギデオンその顔は?何かあったのか?」


「魔王様の連絡があり、バイモ親方との連絡を頼んでいたのですよ。それと竜王様の留学が延期になったことをお伝えしております。」


「ああ、ドワーフとの連携は大事だ。頼んだぞギデオン。それから、竜王の件は母上が考えておられるから、こやつらに聞くなよ?まぁ~一癖も二癖もあるこやつらなら聞いてくれないだろうがな。妾の臣下に命令など厚かましいと叱られるぞ。こやつら叱り方がエグいからな。優しいのは母上にだけじゃ。」


「はいはい。口だけだなく、手を動かしてください。王太后様の前で態度を変えるのは陛下も同じではないですか~。あんな甘えた声出せるんですね?使節団は予定どおりでギデオン大公と陛下の訪問はどちらに着いていくつもりですか?」


「母上だ!お前に甘えた声など出せるか!寒気がするわ!?」


「僕も…王太后陛下が良いです。」

僕は恐る恐るポトスを見ながら答えた。


「なんじゃ?塩らしくなりおって…さては既にへこまされた後じゃな!?あははは。ーーマジ?」

僕の顔色を見て、プルメリアが焦っているのが解る。


「陛下!手を動かしてください。そんなことしてませんよ!少ししか…。失礼な事を言わないで下さい。王太后様に泣きつかれたら困るではないですか!皇太后様には静養が必要なのですよ?」


「ポトスーお前も母上至上主義か!?妾の臣下であろう!ギデオン!大丈夫だ!こやつらには後で妾が叱っておいてやるから!ギデオンはいつも通りでよいぞ!そうだ!母上に魔王殿の面会が終わったら竜王殿の件を聞きに行こうな??」


「でも…。僕。王族として役に立ってないし…。」

解ったよ!十分に!僕は王族として役立たずの上にただ飯ぐらいってことだろう。


「叔父上。貴方は好きなことにしか興味や探求心がでない方だ。だから、人間にもその他にも心が動かない。ただし、自分が好きだと感じたものには並々ならぬ力を発揮する。それが魔道具なのでしょう。その、興味のなさは王族として美徳であり、貴方を生かしたのです。母上は解っておられます。竜王殿の留学の件もごしんぱ…。」


「ごめんなさい。僕…迷惑かけてるだなんて思わなくて…。後継者を作ることが…そんなに大事でプルメリアの治世に影響するなんて思わなくて…。影が薄い方がいつも怒られなくてすんだから。僕、これから20年の間にお嫁さん探しする。花梨からトーナメントがあるって聞いたんだ!酒造りの魔道具のレシピはカルミアの王族に寄贈するね!そうすれば王族潤うでしょう?あと…えーっと、あっ!トロッコ!速度があって省エネの魔道具作ってって依頼されていたんだけど…そのレシピも渡すね!最初からそうすれば良かったんだ。僕何で気付かなかったんだろう。あとね!あと…。」


「ストップ!!まってぇー。妾の話を聞いてー。竜は嫉妬深いのだ!今から探したら相手が殺されちゃうし、そんな価値の有るものポイポイ渡さない!」


「え?だってこれぐらいでしか貢献できないし…管理は王族にして貰った方がいいでしょ?僕は嫁ぐんだから~レシピ独占しててもメンテナンスもできないよ?あっ!これまでここで開発していたのは全部王族に寄贈しようかな?うん!それがいいね!僕、忙しくなるし。よろしくね!ポトス!ユッカ!」

ポトスとユッカの顔は赤い処か青くなってしまいには白くなった。


皆は知らない。つぐみが何故姉を自由にさせていたのか…。姉を縛り付けようとすると、縛った方が首を締める上にこんがり焼かれてしまうのだ。

皆は今知った。踏んではならない物を踏んでしまったのだと言うことを。

カルミア国の王族の資産は爆上がりしたが、面倒事も抱え込んだ。ポトスとユーカリとユッカは全快したつぐみにこんこんと説教され、姉に手を出すなと約束させられた。

ギデオンは自由にしていたんではなく自由にしておかなければならない存在だったのですー。


つぐみ達日本の家族組はそれをよく知っています。


でも、それと王族の義務とは関係ありません。

自由と思える範囲内で義務を遂行してもらおうとつぐみも努力はしていましたが、ドラゴン族のツガイは予定外で…。

臣下の懸念は全て事実。


次回、エピローグです。

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