妹と姉 sideギデオン
ここにも切り込みを入れます!
内政と言ってたけど…家族関係の平定が多かったな…。
姉と妹の関係を臣下がどう見ているのか。
ギデオン視点でお送りします。
少し、長めです。
つぐみが体調を崩した。
侍医がいうには極度疲労と精神的なストレスによるものだという。
最初の1週間は熱が下がらず意識も曖昧。下がったかと思えば夕方からまた熱が上がってくる。それも38度台の高熱だ。これでは体力が消耗してしまう。
解熱剤で下げても効果が切れるとまた上がるので…クーリングと漢方薬と滋養の有るものをスープにして何とか食べさせてやっと微熱で済むようになったのがそれから2週間経った後だった。
プルメリアは母親から少しも側を離れようとせず、カリンやキキョウ、ハギもベッドの上に身体を小さくして乗ると降りようとしなかった。
セバスは王太后宮の執務室で仕事をするようになり、カラーもリンドウと共に王太后宮に詰めて離れない。
王宮は火が消えた様だった。
私はキレた。ここまで怒りで我を忘れるなど初めてだった。教会に行き、神殿に向かって吠えた。
「妹が何をした!この世界に生きてもいなかった、あの子があんなになるまで何をしたんだ!お前達の尻拭いを何故妹がしなければならない!」
「貴方の尻拭いでもあるのでは?自分の非力は棚上げですか?確かに神子様は何も悪くない。この世界に生きてもいなかった。でも貴方は違う。この世界に生きている。あなたが尻拭いをするべきだったのに傍観を決め込んだのは貴方では?」
「お前だってそうだろうが。ユーカリ!」
「ええ。そうです。ですから私は教会を改革しております。あの方にだけ辛い思いはさせません。ジークハルト様の魂の救いのために祈りも捧げました。で?貴方は?ここで神に唾を吐きかけるだけですか?簡単で良いですねぇ。」
「なっ。私は何もしなかったのではない…仕事は請け負っていた。それに距離を取ることが必要だと思ったから…」
耳が痛かった。私だって好きで線を引いたわけではないのに。
「ええ。それは我々も解っています。神子様もそれがプルメリア様の地位を脅かさない為だと理解されていたでしょう。ギデオン様が残されたのは血統のためだけだと思われていましたから。ですが?王族の最低限の仕事すら貴方はされていない。仕事は無償でしたか?違いますよね?魔道具作者として報酬は得ていた筈です。だとすれば王族の仕事に含まれませんよ。」
「僕なりに相手を探していたさ!でも…気持ちが動かなかったのだ。仕方ないだろう。探してやっと…」
ユーカリは僕を卑下した目で見ていた。教皇として血統を守ることを仕事としている…それを誇りに思っているのだろう。
「それがあの、ドラゴンのツガイですか?貴方は王族として本当に使えない。」
「ドラゴンの何が悪いんだ。教皇が種族差別をするのか?」
「私は種族差別などしていませんが?まず、貴方が間違っている点が1つ王族の後継問題に本人の気持ち等必要ありません。神子様とジークハルト様の結婚に気持ち云々があったとお思いですか?少なくとも神子様の気持ちなどガン無視だっと思いますがね。なのに貴方には気持ちが動く動かないが許されるとでも?」
言葉が出なかった。どうしてそんなことに気が付かなかったのだろう…。
「続けても?…。2つ目、貴方が1人でも側妃を迎え後継を儲けられていれば、話しは違いました。後継者と側妃をおいて、王籍を離脱させれば貴方がどこに嫁がれても構わないのですから。現在プルメリア様には後継者がいません。どれだけ急ごうとも後20年は無理でしょう。その状態で貴方はドラゴンの番を得られた。しかも相手は現在最強といわれる竜王です。いつ成体になられ、貴方との間に子が産まれるか解からない。その竜との子供にプルメリア様の子供が太刀打ちできると本気でお思いですか?我々教会も血統がある以上反対できないのですよ?」
膝から崩れ落ちた。それでもユーカリは続ける。
「臣下達もどれだけ焦ったか解りません。なのに貴方は晩餐会で竜王にわざわざ王族として王太后に紹介させ、挨拶し、面会のために王太后を利用しましたね。王族として何の仕事もしていないのに。初めは不可抗力だとしても、面会は違った筈です。ギデオン大公の意思だと判断された筈です。ポトスは良く貴方を暗殺しなかったなぁ~と思いますよ。少なくとも私なら貴方は生きていないでしょう。四獣様方もここまで自分本意な姉は神子にとっても毒でしか無いでしょうから、止めないでしょう。」
以前は良く話しかけてくれていたハギやキキョウが業務的な報告しかしなかった。つぐみやプルメリアと距離を取っているからだと思っていたが…。
「そろそろ現状が理解せれましたか?こちらも暇ではないのです。ここは祈りの場。お引き取りを。」
僕は教会を出るしかなかった。歩いて王宮に戻り、ポトスの元へ。
ユーカリ君はぶちギレております。