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屋上に行くと、また君の姿があって、私は自然と笑顔になった。

「今日も空を?」

「うん」

彼は、フェンスに寄りかかって空を見上げたまま、話しかけてくる。

私はうなずいて答えた。

「今日は少し曇ってるけど」

「それも好きだよ。良い天気って、晴れって意味で使われるけど、それっておかしいと思うんだ」

「大体の人は、晴れが好きなんだよ」

「そうかな・・・」

君は、苦笑いを浮かべて、まだ空を見上げている。

「また、変な奴って思ってる?」

「いや。別に、変な奴って、悪い意味で使ってるんじゃないし」

「そっか、良かった」

私は安堵によってか表情が緩みにっこりと笑っていた。

雲と雲の間から、光が筋のように差し込んできて、少しまぶしい。

その空を見上げて、私はまた笑顔になる。

哉都君のほうに目を向けると、彼は真顔で、あのあふれんばかりの「笑顔」を忘れ去ったかのように、こっちを見ている。

彼の眼鏡越しに見える目と、私の目が合った瞬間、私はそのままの状態で動けなくなって、一瞬、時間が止まったかのような感覚に陥ってしまった。

しばらくそのままだったのか、それとも、それは私が思っただけで、実際はすごく短い時間だったのかは分からない。

でも、私にとっては、とても長い時間に感じていた。

先に視線をそらせたのは哉都君で、空に向かって視線を戻し、「ボーっとしてると、また転ぶよ」と、助言なのか皮肉なのか分からない言葉をくれる。

「・・・そうかもしれない」

私は、素直にそう思って、顔を真っ赤に染めた。

哉都君は、一瞬間を置いてから、いつもの「笑顔」に戻り、「授業始まるよ」といって、屋上を後にする。

私は、その後姿を、唯見つめていた。

そして、始業のチャイムが鳴る頃になって、やっと屋上を後にした。

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