表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/27

15

 

文の改行を変えてみました。

読みにくい、などありましたら、言ってください。

「ちょっと時間ある?」


そう言われ、特に急ぎの用事がなかった私は、うなずいた。

二人で近くの公園のベンチに座る。

外は真っ暗だけど、星空と、ちょっとはなれたところに位置している街灯のおかげで、哉都君の顔は、すごくよく見えた。


「昨日は、屋上来なかったね」

「え?」

「屋上、いっつもあの時間は来てるのに」


あぁ、その話か、と、私は納得して「ちょっと、用事があって」とごまかしておいた。

会話が止まったので、私はそれより、と、話を変えることを試みる。


「今日は、屋上来なかったね」


・・・あまり、変わっていないのが現状。


「あぁ、先輩に捕まっちゃってて」

「先輩?」

「うん、宿題を教えてあげてたんだ」

「先輩に?」

「うん」


すごい、と私は小さくつぶやいた。

とてもじゃないが、私には中3の授業は分からない。

ちょっと、あんぐりした感じで馬鹿みたいに口を開けていた私は、あわてて口を閉じる。

それを見た哉都君が、ちょっと苦笑い気味に噴出した。

こんな笑い方をする彼、始めてみた。

少なくとも、みんなに振りまいている愛想笑いとは、種類が違った。


「・・・僕さ、面倒だから真面目にやってるって、前に言っただろう?」


突然、真顔に戻って、彼が言った。

私はうなずく。

哉都君は、何の前置きもなく語りだした。


「本当なんだよ。先生とか、周りとかに叱られたりするのが面倒で、ここまで真面目にやってるんだ」

「・・・」


私はなんて言葉を返していいのか分からないで、黙っていた。


「でも、逆にそれがプレッシャーになるなんて、思ってなかった。結構、きついんだなって、初めてしったさ。それに、何か、変な女子に恨まれてるっぽいし。特に何にもした記憶はないんだけどな」


やっぱり、プレッシャーだったんだ。真面目であるっていう、レッテルも、きついんだ。

それに、哉都君は佐和子ちゃんや、になちゃんのことを、それなりに気付いていたらしい。

何にもした覚えがないのに恨まれるのって、結構きつい。


「はは、馬鹿みたいかな。ゴメン、こんな話聞かせて」

「ううん、全然」


立ち上がった哉都君に合わせて、私も立ち上がる。


「こんな話、人に聞かせるなんて・・・僕どうしたんだろう?」


そういう哉都君の顔が、いつもの愛想を振りまいている感じの苦笑いに戻っていた。

何故彼がこんな話を私に聞かせてくれるのか分からないけれど、彼曰く、私が「変人」だからだろうか?

私はどうしたらいいのか分からなくて、とりあえずコンビニ袋の中の飴を一袋取り出し、


「とりあえず、これ食べて、元気出してください」


と言った。

それは、私のお気に入りの飴の一つだったので、惜しい気がしたけれど、あんなに悲しい顔をした彼を放って置けるはずがない。


「ありがとう」


彼はそういって、飴を受け取る。

去り際、彼は、「やっぱり、君って変だ」といっていた。

自覚のない私は、彼の後姿を黙ってみている。

そして唐突に、袋の中身にアイスが混じっていることを思い出した。


「やばっ」


私は、それから走って家に帰る。

家に帰ってから、蓮斗に解けたアイスを渡し、文句を言われたことは言わずと知れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ