表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

11

「遊佐さ、ほんとに恋とかしてないの?」

「は?」

鞄の中身をあさっていると、急に舞架が訪ねてきた。

「哉都君に憧れない女子は、女子じゃない!」

智倖が横に来て、断言する。

「だよねー!」

「やっぱ、舞架は分かってる!」

「哉都君みたいな人気者じゃ、相手にされないのは分かってるけど・・・」

「これは恋じゃないのよねぇ、憧れよ!」

「そう、憧れて、そこから恋に発展するのよねー」

「大事なのは、そういう憧れ心よ!」

「やっぱ、智倖は分かってる!」

何も答えられない私をよそに、二人で手を取り合って盛り上がっていた。

「そんなこと言っても・・・だってさぁ・・・」

私は困惑した表情で、視線をそらす。調度そこに、ドアの隙間から哉都君が顔を出した。

パッチリと、目が合う。

「哉都君だ!」

すぐさま反応し、黄色い悲鳴を上げる舞架と智倖。

私は視線をそらせずに、彼の瞳を見つめていた。

昨日の、無表情な、暗い瞳から、もう元の、なんだか親しめない感じの笑顔に戻っている。

哉都君はこちらに向かってにこりと偽の笑顔で微笑みかけ、学級委員長を呼び止めた。

私の周囲の女子から歓声が上がる。

「こっち見た!こっちに笑った!」

「ねぇねぇ、今の私のほう見てた?!」

「こんなことなら、もっと髪の毛セットしてくればよかったー!」

まるで、テレビのアイドルが来たかのような騒ぎっぷりだ。

まぁ、ジャニーズ顔負けの美男子が微笑みかけてくれば、それは興奮するだろう。

他の女子と混ざってキャーキャー言っている二人から視線をはずし、私はなぜか、ちらりと佐和子ちゃんとになちゃんを見てしまった。

「・・・ホント、いけ好かない」

声は聞こえなかったけれど、確実に、口はそうやって動いていた。

今日の天気は晴れ。

雲ひとつないいい天気が、なぜか私を余計不安にさせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ