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「面倒だからだよ」
私の問いに、彼はそう答えた。
―――――真面目。
それが、彼をカンペキにコーティングした、いわば、鋼の鎧だ。
宿題も、忘れたことは一度も無い。
頼まれた仕事は、絶対にこなす。
先生の信頼も、クラスメイトからの信頼も、俄然厚い。
顔もよく、性格もよく、もちろん女子にももて、明るい性格から、男子にも支持され、
言わば、最強真面目君として君臨している。
だけど・・・私はみてしまった。
屋上のフェンスにすがり、金賞をとった作文を、彼がびりびりに破いているのを。
めがねの奥で、冷たく光る眼差しを。