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カーミラは人間の血を吸い尽くし殺してしまうか、自らの下僕として操り人形の如く従わせるのだが、ミランダはそれを嫌った。
血を吸った人間の意思を奪わず、まるで仲間のように接するのだ。
しかも下僕たちが回復するのを待ち、お互いの血を吸い合うことで、新たな人間を襲う行為そのものを抑制しようとさえするのだ。
人間を家畜としか思っていないカーミラにとって、ミランダの行動は不快で変態的にすら見えた。
ヴァンパイアハンターを警戒すると言いながら、ミランダが本能のままに人間を襲う自分を牽制しようとしているのではないか?
そうも思えた。
カーミラはミランダの意見を尊重するふりをしながら、その眼を盗んでは人間を襲った。
小さな村を全滅させたときもあった。
ミランダに疑われぬ人数だけを下僕とし、残りは血を吸い尽くして殺した。
死体は下僕たちに処理させた。
ある日、ミランダが一人の女を連れてきた。




