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カーミラたちの心には常に、その想いがあった。
大勢の仲間が倒され、ついにヴァンパイアハンターたちの総攻撃が開始された。
カーミラたちは難を逃れるため、苦渋の決断を下す。
他国への逃亡である。
彼らは国を後にし、陸路を東へ東へと進んだ。
何度か追手の攻撃を受けたが、それも祖国と離れていくほどに減っていった。
砂漠を旅する途中で殺した人間の持つ書物から、初めて「星の子」の伝承を知った。
何十年かに一度現れる美しい姿の「星の子」が不思議な力を操るという話だ。
カーミラたちを最も惹きつけたのは「星の子」が親しい者に語った「私は太陽が無い自分の故郷へ帰ります」という言葉だった。
太陽の無い世界。
それが本当に存在するなら、そこは吸血鬼たちにとって、理想の安息地となるだろう。
それから彼らは、あらゆる手を尽くして「星の子」を捜し始めた。
捜索範囲を拡げるため、吸血鬼たちは各地へと散った。




