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カーミラたちは、かつて日の本から遠く離れた地に住んでいた。
人を襲い生き血を吸い、自らの力とする種族、吸血鬼である。
彼らは太陽の光を浴びると死する運命ではあったが、ひとたび暗闇が訪れれば、人間など足元にも及ばぬ強さを発揮する。
カーミラと仲間たちは人間を「餌」と位置づけ、非道の限りを尽くした。
人間たちは彼らを恐れ、逃げ惑った。
痛快であった。
昼間、自由に行動できぬ憂さを下等な人間どもにぶつけた。
すると、そのうちカーミラたちに逆らう人間が現れた。
最初はつたなかった、その者たちの反撃も、戦いが続く中で次第に的確となって、吸血鬼側にも犠牲者が出始めた。
吸血鬼と戦う人間たちは自らを「ヴァンパイアハンター」と呼んだ。
ヴァンパイアハンターたちの数の多さと強い精神力、吸血鬼の弱点の研究によって、カーミラたちは追い込まれていった。
何よりもやはり、太陽の存在が最大の障害だった。
(太陽さえ無ければ…)