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星繋ぎ  作者: もんじろう
83/147

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「絞め殺してくれる!!」


 カーミラが言った。


 が、言葉とは裏腹にカーミラの触手は絞まらない。


 龍虎の強靭な肉体が、それを許さないのだ。


 触手の中の龍虎の両腕の筋肉が盛り上がり、触手を押し返し始めた。


「おおおおおっ!!」


 龍虎が吼えた。


 龍虎を捕らえている触手が、全てちぎれ飛んだ。


「おのれーっ!!」


 カーミラが叫ぶ。


 龍虎が、カーミラへと跳んだ。


 右の拳を空中で引き絞る。


 カーミラは直感した。


 このままでは、おそらく龍虎の拳は触手による防御を突き破り、カーミラの顔面に到達するだろう。


 それは屈辱であった。


 かつて祖国を追われ、この日の本へとやって来た者たちの一人、すなわち上位眷族(じょういけんぞく)である自分が下僕である存在に直接、顔を殴られるなど、あってはならない。


 想像しただけで背筋が凍った。


 龍虎の右拳が、カーミラの顔をめがけて放たれるかと思われた瞬間。


 横合いより突如、現れた影が龍虎へと飛びかかり、首筋に噛みついた。


 龍虎が押され、地に転がる。


 龍虎は噛みついてきた者を見た。


 蛇姫であった。


 ぼろぼろの身体を何とか立ち上がらせ、カーミラと龍虎を追ってきたのだ。


 カーミラに支配され、ほとんど自分の意思の無くなった操り人形としての行動であった。


 蛇姫の牙の猛毒が龍虎に注入される。

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