82/147
82
「わらわに勝てると思うてか!!」
カーミラが両手のひらをかざし、大量の血管触手を吐き出した。
龍虎の左手が疾った。
全てのカーミラの触手が半ばほどで、一瞬で切断される。
「な!?」
驚愕するカーミラの両肩を肉薄した龍虎の両手が掴む。
そのまま、カーミラの身体は後方へと押し込まれた。
二人は猛烈な勢いで、林の中に姿を消した。
その場に残された優とトワは、呆然とそれを見送る。
「あ」
優が声を出した。
蛇姫の姿も消えていると気づいたのだ。
龍虎が後ろを振り返った。
優とトワから離れ、二人の姿は見えない。
少年たちを戦いに巻き込まないための配慮であった。
「薄汚い手で、わらわに触れるでない!!」
カーミラが叫ぶと同時に、黒いドレスを引き裂き、全身から触手が飛び出した。
大量の触手は龍虎の身体へ絡みつき、カーミラから引き剥がした。
そこから、強烈に締めあげる。
龍虎の頭以外は触手に巻きつかれた状態となった。