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左手に握っている刀を鞘から抜かず、そのまま右手に持ち変えた。
そして。
真っ先に斬りかかってきた忍びの顔に、鞘に納めた刀を横殴りに叩きつけた。
忍びはウロコがびっしりと生えた顔を潰され、吹き飛んだ。
男の細身な身体からは想像できない力であった。
続いて襲ってきた忍びも翻った刀に頭を潰される。
三人、四人、五人。
男の、まるで舞踊のような流れる動きが止まると、七人の忍び全員が地面に倒れていた。
ほんの一瞬で手下を全滅させられた三兄弟は呆然となった。
「ははは」
樹上の女が笑った。
「やるじゃないか、色男」
楽しそうに言った。
男が優とトワへと歩きだす。
男の前に立ち塞がる者が居た。
兄者と呼ばれたトカゲの忍びだ。
「壱尾兄者」
弐尾が兄の名を呼んだ。
「俺に殺らせてくれ」と弐尾。
壱尾は首を横に振った。
「この男はなかなか強い。確実に殺さねば後々、面倒だ。俺が殺る」
壱尾が言った。