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星繋ぎ  作者: もんじろう
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66

 無法丸が縫を抱いたまま、間髪入(かんはつい)れず崖の下へと飛び降りた。


「な!?」


 これには楽法が驚きの声を上げ、崖の縁に駆け寄った。


 下を覗き込む。


 無法丸と縫は、銀糸を蜘蛛の巣状に崖の岩肌に貼りつけ、それを足場に下へ下へと降りていく。


「ふふふ。やりますね」


 楽法が笑った。


 背後を振り返る。


「美剣様!!」


 呼びかけた。


「私はこのまま『星の子』を追いまする! 美剣様は、ゆるりとおいでくださいませ!」


 そう言うと楽法は崖へと跳んだ。


 鳥の羽のような身軽さで、縫の貼った糸を巧みに使って崖下に降りていく。


 美剣が、それを見送った。


 背後を向き、刀吉を伴っていずこかへと姿を消した。


 その場には縫の糸によって拘束された蛇姫だけが残った。


「ぐうう…」


 蛇姫は無法丸に受けた痛手と「星の子」を奪取し損ねた自分の不甲斐なさに、うめいた。


 己が牙とくないを使い、何とか縫の糸を切ろうともがく。


 ここはやはり屈辱ではあるが、一度、屋守翁と合流し再び敵に挑むしかない。


(次こそは…)


 そう思った蛇姫の顔に突如、液体が滴り落ちた。


(雨か?)


 頭上を見上げた蛇姫の顔前に、いつの間に現れたのか、巨大な二匹の犬の顔があった。


 その口から滴ったよだれが、蛇姫の顔にかかっているのだ。


 悲鳴を上げかけた蛇姫の耳に、女の声が聞こえてきた。

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