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「待て!!」
突然、凛とした男の声が響いた。
少年たちと忍びたちが走ってきた草原をひとつの影が、こちらへと走ってくる。
速い。
あっという間に少年たちを囲む忍びたちの側まで、やって来た。
浪人風の男だった。
長身で細身だが筋肉質。
長髪を後ろで、ひと括りに束ねている。
黒鞘に納めた大振りの刀を持っていた。
刀は細めの鎖で、ぐるぐる巻きにされている。
「あら」
樹上で事の顛末を見守っていた女が呟いた。
「いい男。あたしの好みの顔だよ」
枝の上で寝そべっていた身体をやや起こし、今まで以上に瞳を輝かせて様子を窺う。
あれだけの速さで走ってきたというのに、男の息は少しも乱れていない。
「お前たちが村を燃やしたのか!?」
男が怒鳴った。
その双眸が怒りに燃えている。
「殺れ」
兄者と呼ばれた男が言うと同時に、三兄弟以外の忍びたちが一斉に刀を抜いた。
七人が男に襲いかかる。
男は落ち着いていた。