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星繋ぎ  作者: もんじろう
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「『星の子』は我らウロコ衆が将軍家の元へと連れていく! 横入りするな!!」


 蛇姫が怒鳴った。


「はははは!」


 楽法が笑った。


 しかし、その間も両手に持った琵琶の演奏は止めない。


 ゆっくりと落ち着いた音を奏で続けていた。


「こちらの『大剣豪』美剣様と私は将軍家の正式な命を受けし者。ウロコ衆などと」


 楽法がウロコ衆たちを蔑みの眼差しで見た。


「今さら、干からびた亡霊ごときの出る幕ではないわ!」


 この侮蔑にウロコ衆らは顔色を変えた。


「そやつらから始末しろ!!」


 蛇姫が命じた。


 美剣たちの近くに立つ忍びらと弐尾が、その下知(げち)に従う。


 一斉に美剣たちに襲いかかる。


「今のうちに逃げる?」


 縫が無法丸に訊いた。


「待て!」


 無法丸が首を横に振る。


 無法丸の眼は他の誰でもなく、仁王立ちしている美剣に向けられていた。


 ウロコ衆の動きにも美剣は微動だにしない。


 得物を振りかざした忍びたちが近づいたところで、楽法の琵琶の調子が変化した。


 先ほどまでの、ゆっくりした曲調から激しくかき鳴らすような演奏へと。


 楽法の吊り上がった細い眼が、弐尾と忍びたちの眼を順に見ていく。


 そして。


 楽法が口を開き、大声で言った。


「動くな!!」


 弐尾と忍びたちの足が、ぴたりと止まった。


 楽法の言葉に気圧(けお)されたのではない。

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