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星繋ぎ  作者: もんじろう
55/147

55

 このまま進むと思われた足を突然、無法丸が止めた。


「待て!」


 後ろの三人に無法丸が言った。


「何か居るぞ!」


 無法丸は眼を凝らした。


 何かの気配を感じる。


 弐尾と惨尾、忍びたちが追いつき、縫とにらみ合った。


 無法丸の両眼が木々の間をつぶさに探る。


 居た。


 何か大きなものが蛇姫の周りで動いている。


 その、地面を這うものが、蛇姫の傍らに顔を現し、鎌首(かまくび)をもたげた。


 巨大な蛇だ。


 口が大人を丸飲みできるほどもある。


 全身が見えぬほど長く、太い。


 蛇姫が大蛇の頭を撫でた。


「いいかい。『星の子』は駄目だ。他の奴らは食ってもいい」


 蛇姫が淡々と言った。


「いけ!」


 蛇姫の号令と共に、大蛇が無法丸たちへと滑りだした。


 無法丸が、ひと息を吸い込む。


 大口を開け、突っ込んできた大蛇へ、無法丸の刀の一撃が横殴りに叩きつけられる。


 すさまじい衝撃音。


 大蛇の頭が横へと飛び、近くの木々へと激突した。


「こっちだ!」


 無法丸が三人を呼んだ。

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