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二人が同時に、がばっと立ち上がった。
「多いな」と無法丸。
「ざっと二十人は居るよ」と縫。
「囲まれてるね」
縫が続けた。
「優! トワ!」
無法丸の大声に二人が飛び起きた。
「また!?」
優が不平を言った。
「はいはい、とっとと起きないとトワが連れていかれるよ! その子を守るんだろ!」
縫の言葉に優は背筋をしゃんと伸ばし、トワの手を握った。
「で? どうすんの?」
縫が無法丸に訊いた。
「ここは不利だ」
無法丸が小屋の外を指す。
「外へ出て、囲みを破る」
「へーい」
縫が言った。
無法丸が小屋の戸に進み、蹴破る。
四人は外へと出た。
小屋の周囲は遠巻きに囲まれていた。
蛇姫と弐尾、惨尾が率いる二十人のウロコ衆である。
無法丸の正面側に立つ蛇姫が声を発した。
「『星の子』を大人しく渡せば、他の者の命は助けてやる!」
これには弐尾と惨尾が気色ばんだ。
「あやつは壱尾兄者を殺した! 殺さねば気が済まぬ!」と弐尾。