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とりあえずは置いておくと決めた。
「しかし、あの女…」
無法丸はカーミラを思い出していた。
「あれは完全に人ではない」
無法丸の言葉に、縫が振り向いた。
「あの女、トワを狙ってるよ」
縫が言った。
「あんた、本気でくそがきどもを連れて、どこかも分からない場所に行くつもり?また、あの女が襲ってくるよ」
縫が両手の人差し指を角に見たてて、自分の額の上に当てた。
「それとあんたは忘れてるかもしれないけど、村を襲った忍びたちだって、きっと諦めちゃいない。それでも、やるつもり?」
無法丸が頷いた。
「ああ。俺は一度やると決めたら、必ずやる」
「はっ」
縫が鼻を鳴らした。
「よっぽど自分の腕に自信があるのか、ただの馬鹿なのか。ほとほと呆れるよ」
縫が再び背を向け寝転がり、尻を無法丸に一度、振って見せた。
そーっと顔だけ振り向き、小さな声で「おいで」と言う。
無法丸が大きなため息をついた。
次の瞬間。




