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縫が面白い顔になる。
無法丸が縫の頭を股間から持ち上げ、床にころりと転がした。
「ありゃりゃ」と縫。
転がった縫の向こうには、優とトワが寝息を立てている。
二人も疲れていたのだろう。
「縫」
無法丸が、うつ伏せで倒れている縫に呼びかけた。
「お前はいったい何者だ? あの糸の技は何だ?」
縫が顔を上げる。
にやーっと笑った。
さっと無法丸に近づき、背後から両手を首にまとわりつかせる。
無法丸の背中に二つの乳房を押しつけた。
「教えたら、あたしのものになってくれるのかい?」
耳元で甘く囁く。
「いや」
無法丸が即答する。
「じゃあ、教えない」
そう言って、縫は再び床に転がり、無法丸に形の良い尻を向けた。
無法丸が、ため息をつく。
内心は縫に感謝していた。
縫が居なければ、おそらくカーミラから優とトワを守り抜けなかったであろう。
縫の不思議な糸を使った技は気になるが、無理矢理、説明させるわけにもいかない。




