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最初の男と同じ、トカゲの顔が現れた。
三人のトカゲの忍びが並んでいる。
「我ら三兄弟はウロコ衆の中でも特に、見た目に一族の血が濃く出ておるのよ」
「それが我らの誇り」
二人のトカゲが言った。
「弐尾、惨尾」
最初のトカゲが二人の名を呼んだ。
「余計な話はするな」
「すまぬ、兄者」
弐尾がそう言うと、惨尾も頭を下げた。
兄者と呼ばれたトカゲが残りの忍びたちに合図する。
忍びたちが包囲を狭める。
その男たちの頭巾から覗く顔はトカゲ三兄弟のようなトカゲそのものではないが、人の顔にウロコがびっしりと生えている、異様なものであった。
この男たちには尾は無い。
「優」
トワが、日焼けした少年の名を呼んだ。
何ともいえず美しく、不思議な調子の声。
「トワは俺が守る」
優の声は微かに震えている。
状況は絶望的だ。
身のこなしからも只者ではない、この異形の忍び集団に二人の少年たちが抗う術などない。