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日向が両まぶたをゆっくりと閉じた。
「日向っ!」
無法丸が日向を揺らす。
返事は無い。
「日向ーーーっ!!」
眼が覚めた。
何故かは分からないがカーミラが戦いを中断し、その姿を消した後、無法丸たちは森の中にある放棄された猟師小屋を見つけ、そこで休息していた。
宿屋での睡眠が怪物たちによって邪魔されたせいもあって、いつの間にやら、うとうとしてしまったようだ。
小屋の窓から夕暮れの陽が差し込んでいる。
無法丸は横になった己の胸元を見た。
縫の顔が乗っている。
無法丸の身体とは縦横の位置取りとなって、人を枕にしているのだ。
にやにやと笑っている。
「お」
縫が言った。
「お目覚めかい? それじゃあ、眠気覚ましに一戦交えるとしますか!?」
無法丸が上半身を起こし、ずり落ちた縫の頭が無法丸の股間の上に転がった。
「おお!!」
縫が喜びの声をあげる。
無法丸の両手が縫の顔を左右から掴み、ぎゅっと押した。