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魔剣鍛治は己の魂を込め、刀を打つ。
自らの器にあるものを刀剣に注ぎ込む。
己に危険が及ばぬ程度にとどめ、無難な刀を何本も造る者も居れば、全身全霊をかけ会心の刀を打つ者も居る。
まさに人それぞれ、様々であった。
自分の器を越え、分不相応な強力な剣を打つ者に待っているのは。
不完全な刀と自身の死である。
「馬鹿野郎!! 何故、何故こんな!!」
無法丸の両眼に涙が浮かび、ぽろぽろと日向の真っ青な顔に落ちた。
日向が紫色になった唇を開いた。
「心の穴を…」
日向の右手が弱々しく伸び、無法丸の頬に触った。
「埋めたくて…魔剣が…強い魔剣が私に打てたら…穴が埋まると思って…」
「日向…」
「でも駄目だった。私には力が足らなかった…その刀は中途半端…私のあなたへの想いと私の名前を込めたけど…おそらく一度抜けば消えてしまう…ずっとあなたのそばで照らし続けたかった…結局…自分の欲を優先した私には…そんな資格は無い…ごめんね、無法丸…」




