46/147
46
「しかし、この二十年、将軍家は我らを遠ざけ新参者を雇い入れておる」
屋守翁の顔に苦悶の色が差した。
「このままでは我らは忘れられてしまうじゃろう」
屋守翁の語調が強まった。
「将軍家は新しい腹心たちを野に放った。『星の子』を見つけるためじゃ」
「星の子」という言葉を聞き、弐尾と惨尾が、ぴくりと動いた。
「星の子」を捕らえる任務は失敗し、兄弟を一人失う惨めな結果となったからだ。
「我らは何としても将軍家の手先よりも先に『星の子』を捕まえる。そして、我らが最も有能であると証明するのじゃ」
屋守翁が「弐尾、惨尾」と呼びかけた。
二人が平伏する。
「今一度、機会をやろう。手勢を率いて『星の子』を捕らえるのじゃ」
「「はっ」」
弐尾と惨尾が同時に言った。
屋守翁が二人の隣の女の顔を見た。
「蛇姫よ」
蛇姫が平伏する。
「お前も二人に加勢せよ。必ずや我が命を果たすのじゃ」
「はっ」
蛇姫が答えた。