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男はターシャの瞳を見つめ、すぐににっこりと笑った。
「分かりました」
「ありがとうございます」
ターシャが両手の指を前について、頭を下げた。
顔を上げ、再び語り始める。
「私はタイムリープの座標設定の手違いで、目標にしていた時間より、一年早い時間に着いてしまいました」
「………」
「私が所属する組織『時間管理局』の指示で、この場所で一年間待つことになったのです。タイムリープをし直すのは、とても手間がかかるので」
「………」
「一年経てば、私たちが正体を掴めていないエネルギーの原因が、この付近に現れると分かっていましたから」
「………」
「それで私は偶然出逢った、お師匠様に使用人兼弟子として今まで過ごさせていただいたのです」
「………」
ターシャは左手首に巻きつけている細い帯状の物を見た。
細い帯は、ちかちかと光っている。
「今日、とうとう目的のエネルギー源が、この付近に現れました。私は本来の任務に戻り、それを追跡しないといけません。ですので、お師匠様ともお別れしなければ…」
「………」
「お師匠様?」
「………」
「華阿弥師匠!!」
ターシャの大声に華阿弥は、びくっとなった。
「師匠、寝てましたね?」
ターシャが疑いの眼差しを向ける。




