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星繋ぎ  作者: もんじろう
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37

(抜くか…)


 迷っていた。


 この窮地を脱するには、それが良いと頭では分かっている。


 しかし。


 踏ん切りがつかない。


 かつて共に過ごした日向の顔が、頭の中でちらついた。


(これだけ追い詰められても俺は…)


 無法丸は唇を噛んだ。


「無法丸!!」


 縫が叫ぶ。


 動かぬ無法丸を見かねて、縫が前へ出た。


 無謀だとしても活路を開くしかない。


「はっ」


 カーミラが笑った。


「女。お前から死ね!」


 カーミラの触手が無法丸から縫へと目標を変えた。


 四本の刃が縫に殺到する。


 常に飄々としている縫の顔が歪んだ。


 だが、無法丸は自らへの攻撃が止んだ隙を見逃さなかった。


 息を深く吸い、気を練る。


 同時に腰を落とした。


 そして。


 四本の刃が縫の身体を斬り刻むかと思われた、その瞬間。


 無法丸の身体が弾丸の如き速さで跳んだ。


 振り下ろされた刀の黒鞘が四本の刃を次々と捉え、すべて粉々に打ち砕く。


 無法丸が縫の前に着地する。


「あざっす」


 縫が無法丸に片眼をぱちりと閉じて見せた。


「こしゃくな!」


 カーミラが怒りの声を上げる。


 が。


 無法丸が移動したことで、がら空きとなった優とトワを見るや、にやーっと笑った。


 無法丸に砕かれた部分以外の残った触手が、今度は二人の少年たちに突進する。


「くっ!」と無法丸。


 もう、二人を守るのは間に合わない。

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