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カーミラとケルベロスである。
ケルベロスが足を止める。
カーミラの真っ赤な瞳が無法丸たちを値踏みするかのように、ねめつけた。
その視線がトワで動かなくなる。
「お前が『星の子』じゃな」
カーミラが言った。
「『星の子』?」
無法丸が呟く。
「『星の子』以外は皆、死ぬがよい」
カーミラが両手のひらを四人に向けた。
触手が勢いよく、四人へと伸びた。
無法丸の刀が流れるような動きで触手を全て、はねのける。
縫を狙った触手は銀糸が迎え撃った。
「まったく」
カーミラが、ため息をつく。
「今日は面倒な奴らばかりに遭う日よな」
無法丸の刀と縫の糸に打たれて破壊されようとも、すぐに次の触手がカーミラの身体から出現する。
そのままで四人を捕まえるのは無理とみたカーミラは触手を変形させ、四本の刃を造った。
刃を先につけた鞭のようになった触手が、うなりをあげる。
無法丸に三本、縫に一本が襲いかかった。