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星繋ぎ  作者: もんじろう
28/147

28

 濃霧の中をこちらに近づいてくる影がある。


「カーミラ」


 近づいてくる影が呼びかけた。


 女の美しい声だ。


 虎造を磔にしていた黒衣の女、カーミラの顔に動揺が走った。


詩音(しおん)か」


 カーミラが言った。


 霧の中から、美しい女が姿を現した。


 顎の辺りまでの長さの銀色の髪。


 銀髪の左側に、黒色の三つの大輪の花を型どった髪飾りをつけている。


 顔色はカーミラと同じく抜けるように白い。


 柔らかい曲線を描く眉毛は髪色と同じ銀。


 大きく、くりりとした栗色の瞳の上部には長く整った、まつ毛。


 そして、その上には紫の染料が眼の(ふち)に沿って塗られていた。


 鼻筋の通った鼻。


 (べに)を引いた艶やかな唇。


 全面に白い曼珠沙華(まんじゅしゃげ)華模様(はなもよう)をあしらった紫色の着物を、すっきりと着こなしている。


 両手には透けたレースの黒手袋。


 右手にキセル。


 黒い帯の上には一輪の大きな赤い華が挿してあった。


 詩音と呼ばれた女がカーミラの赤い瞳を見つめた。


「また、悪さをしているのか?」


 詩音が呆れたように言った。


 カーミラが後方へ跳んだ。


 まるで体重が無いかのように、瀕死の虎造とお龍を飛び越え、ケルベロスの隣へと舞い降りる。


「お前には関係ないことじゃ。勝手気ままに生きる、お前にはな」


 カーミラが詩音に言った。

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