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星繋ぎ  作者: もんじろう
26/147

26

「虎っ!!」


 磔にされたままの虎造が首を回し、お龍へと横顔を見せた。


「龍っ!! 俺に構うな!逃げろ!」


 虎造が叫ぶ。


 お龍は唇を噛みしめ涙を振り払い、もう一度、虎造に背を向けた。


 お龍の眼の前に、いつの間に回り込んだのか、巨大な双頭の犬が立っていた。


 よだれを垂らす二つの頭が低いうなり声をあげる。


 四つの赤い眼が、ぎろりとお龍をにらんだ。


「どうやら」


 お龍が言った。


「逃がしちゃもらえないようだぜ」


 ドスを構える。


「殺れ、ケルベロス」


 女が命じた。


 双頭の犬、ケルベロスが咆哮した。




「龍っ!!」


 虎造が叫ぶ。


 その両眼には涙が流れていた。


 首を回し、何とか背後を振り返ろうとするが、串刺しの四肢のために動けない。


 虎造の背後ではケルベロスに散々、噛みつかれ、ぼろ布のようになったお龍が倒れていた。


 血だまりの中で動かない。


「龍っ!! 死ぬんじゃねぇ!!」


 虎造の叫びにお龍の身体が、ぴくりと反応した。


 がくがくと震えつつ血まみれの顔を上げ、右手を虎造へと伸ばした。


「と…ら…」


 微かに消え入りそうな声で言った。


「うおおおおっ!!」


 虎造が吼えた。


 黒衣の女へと顔を向け、鬼の形相でにらみつける。


「ぶっ殺してやるっ!!」


 自分の四肢が、血を吹き出すのも構わず動こうとする。


「ほう」


 女が驚嘆した。

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