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星繋ぎ  作者: もんじろう
25/147

25

「虎っ!!」


 連れ合いを呼ぶ。


「死ぬんじゃねぇぞ!!」


 お龍の瞳は潤んでいた。


「あたぼうよ」


 虎造が頷く。


 お龍が(きびす)を返した。


「わらわから逃げられると思うておるのか?」


 黒衣の女が、一歩前に出た。


「させねぇっ!!」


 虎造が跳ぶ。


 右拳を後ろへ振りかぶり、女へと向かっていく。


「おおおおっ!!」


 虎造が吼える。


 その姿はまさに大型の肉食獣、虎だ。


「寄るでない、下郎めが」


 女が言った。


 両手のひらを虎造に向ける。


 瞬間。


 女の手のひらから無数の細い触手のようなものが飛び出した。


 触手は四方に拡がり、空中の虎造の四肢へと突き刺さった。


「ぐっ!!」


 虎造が、うめく。


 一見、細く頼りなげな触手たちは恐ろしいほどの強力さで、虎造の巨体を宙に(はりつけ)にし、完全に動きを封じた。


「わらわの身体は九割が血管で出来ておる。そして自在に操れるのじゃ」


 女が言った。


 虎造の苦悶の声に、逃げかけたお龍の足が思わず止まり、振り向く。

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