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肌の色が雪のように白く、大きな双眸は血の赤。
整った美しい顔。
腰まである豪奢な髪の毛は金色に輝いている。
日の本の出身には見えない。
「わらわの下僕たちを倒すとは」
女が口を開いた。
女の二本の犬歯も、先ほどの十人と同じく異常に長い。
「生意気な奴らめ」
女が続けた。
女の赤い瞳ににらまれた瞬間、さすがの虎造とお龍も、ぶるっと震えた。
「こいつは…」
虎造が言った。
「半端ねぇな」
じっとりと全身に冷や汗が出た。
虎造の本能が、最大級の危険を告げていた。
「龍っ!!」
虎造が大声で呼んだ。
「逃げろっ!!」
「虎っ!?」
お龍が戸惑った。
虎造を置き去りにするなど、本来はあり得ない。
それを百も承知で虎造は言っているのだ。
それほど、この新手の女は危険だ。
お龍にも、それは分かった。
虎造の自分を見つめる真剣な眼。
(一度決めたら、聞きゃあしねぇ)
お龍は思った。
両眼を閉じる。
それも束の間。
かっと開いた。