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女は無法丸を見つけるや叫び、飛びかかった。
無法丸の刀の鞘が女の横っ面を叩き、ふっ飛ばす。
女は部屋の壁にぶつかって、床に落ちる。
が。
ゆらゆらと立ち上がった。
手かげんしたとはいえ常人では、すぐに立ち上がれぬ一撃であったはず。
無法丸の顔が曇った。
優とトワを後ろに庇い、窓側へと動いたところで。
突然、隣の部屋の襖戸が壊れ、三人の男が飛び込んできた。
皆、女と同じ様子で牙をむき、爪を振りかざしている。
優とトワは無法丸に守られ、新手の三人とは離れていたが、棒立ちで男たちの側に立つ女が一人。
縫である。
三人は一斉に縫の艶っぽい肢体に襲いかかった。
「縫っ!!」
無法丸が叫ぶ。
刹那。
銀色の光が無数に疾った。
そして。
三人の男たちは、一瞬のうちに。
天井にくくりつけられていた。
男たちの真下で縫が片ひざをついている。
「魔糸ばり」
縫が言った。
にやりと笑う。
縫の掌中より無数の銀色の糸が伸び、三人を天井に縫いつけているのだ。
男たちは、まったく身動きがとれない。
縫の超絶の技を驚く無法丸に、先ほどの仲居が再び飛びかかった。
無法丸が息を吸う。
吐くと同時に、刀を空中の女の喉に突き入れた。
女の身体が、まるで弾丸のように、まだ破れていない障子へと飛んでいく。