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二人の打撃は強烈である。
慣れっこのケンカ沙汰なら、相手はもう立ち上がってはこない。
ところが。
ふらふらと十人は身を起こした。
牙をむき、再び唸る。
「虎っ!?」
お龍が虎造を見て言った。
さすがに青ざめている。
虎造が右拳を握り、左の手のひらに当てた。
ぱんぱんっと二回、鳴らす。
「龍っ! 腹をくくれっ! 本気でやるぞ!!」
虎造が吼えた。
「あいよ!」
答えたお龍に笑顔が戻る。
お龍が懐中からドスを取り出し、鞘を抜いた。
油断なく構える。
十人の男女が二人に襲いかかった。
振りかぶった虎造のごつい右拳が敵の顔面に叩きこまれる。
相手が前に出る力も加わって、完全に頭が潰れた。
今度は左の拳。
二人目も倒れた。
三人目は虎造の上から飛びかかってくる。
虎造が右拳を下から天に突き上げる如く打ち抜いた。
拳は正確に空中に居る男のあごに当たり破壊した。
男が弾き飛ばされる。
左右から襲いかかる残りの二人の頭を振り回した虎造の両の拳が、同時に叩き潰す。
お龍のドスが、きらめいた。
槍のように突き出される五人の爪をかわし、その十本の手首を瞬く間に斬り落とす。
その後は全員の首筋を掻き斬り、黙らせた。
虎造とお龍以外に動いている者は居なくなった。
「虎、何だい、こいつらは?」
お龍が言った。




