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星繋ぎ  作者: もんじろう
2/147

2

 女の口が男の耳に囁く。


(ゆう)…トワ…助けて…」


 女が震える手を上げ、前方を指した。


「この先か!?」


 男が訊いた。


 女が弱々しく頷く。


 そして倒れ、それきり動かなくなった。


 男は無言で踵を返すと、猛烈な勢いで闇へと向けて走りだした。




 短い草がびっしりと生えた草原を二人の少年が走っていた。


 二人とも十代の前半といったところか。


「トワ、まだ走れるか!?」


 前を走る日焼けした少年が、手を引いている後ろの少年に声をかけた。


 トワと呼ばれた少年が頷く。


 トワは変わった外見をしていた。


 まずは肌が雪のように白い。


 肩まである髪の毛、そして眉毛は金色だった。


 髪の中から外へ出た耳は先が長く、やや上に尖っている。


 整った美しい両の瞳は鮮やかな青色だった。


 先導する少年に比べると華奢で、娘のようにさえ見える。


 二人は草原の先にある、なだらかな丘へ向かって走っていく。


 丘の上には大きな一本の木が立ち、立派な枝を広げていた。

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