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「我々は新しいエネルギーを模索しました。そして、長い年月の末、別の星で太陽エネルギーを吸収し、この星に持ち帰る方法を完成したのです。ごく限られた適性を持つ者が他の星へと、しばらく移り住み生活する中で太陽エネルギーを貯え、一定値に到達したところで母星に戻る。体内のエネルギーは、もはや太陽の光ではありませんが、我々が新しく造ったいろいろなものを作動させることが出来ます。これにより、我々の生活は太陽が死ぬ前の水準まで回復したのです」
「………」
「ただ、不戦の誓いを立てた我々は他の星で殺されたり捕まったりする場合もあります。そのときに母星に災いを呼び寄せないよう、他の星に行く者はある程度の記憶を封印され、状況に応じて徐々に解除される仕組みになっているのです」
「それでトワは行きたい場所が『分からない』と言ってたのか」
優が納得した。
「そうなの。ごめんね、優」
トワが優の手を握り、謝った。




