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「あれほど悪意のある者が、こちらへ来たことは、かつてありませんでした。我々の種族は直接争うことを禁じていますので、あのままでは恐らくひどい事態になったでしょう」
「ここは、どこなんだ?」
無法丸が訊いた。
「ここは我らの星です。あなた方の星とは遠く、本来ならとても行き来が出来ないほど離れています」
「………」
「しかし我々は空間を引き寄せ、別の星の好きな時間と場所に繋ぐ技術を持っているのです」
無法丸は首をひねった。
「トワは何故、俺たちのところへ?」
「我々の星にも以前は太陽がありました。しかし、その太陽は寿命で死んでしまったのです。我々の生活は太陽のエネルギーに依存していたので、大変な混乱が起きました。あらゆる技術が使えなくなり、生活は大昔のものに戻りました」
「………」
無法丸と優には、女が何を言っているのか、よく分からなかった。




