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無法丸が大きく息を吸った。
体内で気を練る。
この刀を使えるのは、この一度きり。
(必ず仕留める)
無法丸がカーミラへと跳んだ。
両手で刀を大上段に振り上げる。
「うおおおおおおっ!!」
咆哮と共に一気に振り下ろした。
練気が両腕を伝わり、陽の光を放つ刀身へと注入される。
まぶしい刃がカーミラの頭から股下までを真っ二つに両断した。
「あり得ぬーーーーっ!!」
カーミラの断末魔が響き渡る。
あっという間にその肉体が土くれに変化し、崩れ去った。
何百年も生きた不死の怪物、呪われし一族の一人、カーミラは死んだ。
無法丸は手の中の刀が、徐々に消えていくのを感じた。
投げ捨てた黒鞘も鎖も、全てが消えていく。
「終わったな」
無法丸が言った。
「日向、お前の刀、役に立ったぜ」
トワと似た姿をもつ人々が無法丸たちを囲んだ。
やや年長と思われる女が、前へと進み出た。
「ありがとう、違う星の方よ」
女が頭を下げた。




